深夜割増廃止は運転者雇用にどう影響?
2014年6月11日・第299号
7月には、京都市域の事業者が申請している深夜早朝割増料金の廃止申請が認可される可能性が高い――このような声が出ている。
現在、京都市域で夜11時になると運賃が2割増になる深夜早朝割増料金を廃止する申請が認可され、深夜も昼と同じ運賃で運行しているのは6社約650両。
それが、現在申請中の深夜割増料金廃止申請も認可されると、京都市域の法人全車両数約6300両の7割を上回るタクシーが深夜の「同一運賃化」となるというのだ。
国交省は通達や監査方針などで現在「恒久認可」している深夜割増廃止も含めて「厳しく」みて、運転者に深夜手当等割増賃金が支払われていない場合は認可を取り消したり、行政処分の対象にするとしているが、これなどは労働基準監督署が監査にでも入らない限り、どれが違法なのかさえも分からないだろう。
もちろん、単純計算すれば現在利用者から戴いている2割増運賃がなくなるのだから、当然その分は営収は減少する。だが、ただちにその事業者は違法になるのかというと、そうはならない。みなサン、申請時には「割引運賃なのだから、深夜の利用者は従来よりも増えるはず」とシミュレーションしているからだ。つまり、認可されるときには想定で認可されてしまうのである。
実際にそうなるかは一定期間が経過しないと分からないので、認可条件に限定期間を設けるわけだが、7割のタクシーが同じ運賃になるとすれば状況は違ってくるはず。それよりも、果たしてそんな不利な条件でも働く運転者がいるのか、どうか。労働力確保の観点からも再検討した方がよいのではないか。
<山田>
※6月11日付・旬刊「トラポルト」第299号「正論・対論」より/写真:昨年11月、JR京都駅北口タクシー乗り場前広場で展示された京都のタクシー。右から都タクシーのロンドンタクシー、彌榮自動車、相互タクシーグループのタクシー。これらの会社と合わせ、エムケイなど市内の20社余りが深夜早朝割増廃止申請を行った(以前から深夜早朝割増廃止をしている6社650両は除く)