地域交通部会でオブザーバーの要望が具体化

2014年6月2日・第298号

第一交通産業の田中亮一郎社長は、昨年9月から地域公共交通のあり方を審議する交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会に全タク連・オブザーバーとして出席し、業界の要望を訴え続けてきた。

その要望を反映したものがスキーム化されつつある。分かりやすく言えば、地域公共交通会議が設置される時にはタクシー事業者に声がかけられ、自治体が考える自家用有償輸送や福祉有償輸送、運転代行の実施に際し、まずタクシーに優先権が与えられたという。そうした事業を行わないと意思表示した時に初めて、事業主体がボランティアに委ねられる、という仕組みづくりが完成する。

6月23日の全タク連通常総会で、田中氏は地域交通委員長として説明すると思われるが、先行して自身が会長を務める地元福岡の協会、九乗協などの通常総会で、具体的かつ分かりやすい説明を行ってきた。

地方は人口減少、少子高齢化が深刻で、安価な移動手段の確保は村落だけでなく、人口流出に歯止めをかけたい都市部でも自治体維持の生命線と言っても過言ではない。

そうした地域事業者は前倒しでコミュニティバスやデマンド交通への積極関与が求められる。来年4月に補助金拠出されることを目標に目下、国交省が予算取りに臨んでいる。

現在、鉄道、バスに拠出された予算は年間約30億円。次年度はその数倍になる見通し。都道府県単位では数億円だが、その補助金をバス運賃とタクシー運賃との差額に使えればというもので、オブザーバーの要望が具体化するのは画期的なことだ。

<山田>

※6月2日付・旬刊「トラポルト」第298号「正論・対論」より/写真:5月29日、熊本市の「熊本ホテルキャッスル」で開かれた九州乗用自動車協会・第60回通常総会で会長あいさつをする田中亮一郎・第一交通産業社長(全タク連副会長、地域交通委員長)