「人材不況」をどう乗り越えるか
2014年5月19日・第296号
全タク連の富田会長は、5月14日の正副会長会議で「運転者不足は東京も地方も同じ深刻な問題。このままでは(冗談ではなく)労務倒産してしまう」と、人材確保に向け全タク連として動く構えを見せた。
富田会長は、「東京では年収500万円以上出さないと来てくれない」と嘆き、人材不足は他産業でも顕著で、それらと競わなければならないとの不安も覗かせた。一般紙報道によると、東京・新宿で24時間営業しているコンビニエンスストアでは、時給1,500円出しても日本人は来ず、東南アジア系やアラブ系の人を雇用しているという。
リクルートジョブズが3月20日に発表した首都圏、東海、関西の「3大都市圏」における2月度の平均時給は、前年同月比10円増の924円で、増加率は1.1%。首都圏では971円に達した。大阪・心斎橋の外食産業では「時給1,000円出してもなかなか人材が集まらない」と嘆く店主もいる。
東京はこれから五輪を迎えるため「雇用される側はもっと高くなるまで待とう」という意識が日増しに高くなっているそうだ。全タク連正副会長会議が開かれた日、福岡市タクシー協会通常総会があった。そこでも中井会長が「国を巻き込んで運転者が入ってくる環境を整えねばならない」と語気を強めた。
;タクシーと言えば「最低賃金」に満たず、「失業者も振り向かない」と揶揄する向きもあるが、今やお金を出しても人が来ない時代になった。この「人材不況」をどう乗り越えるか。全国的な議論の沸騰を期待したい。
<山田>
※5月19日付・週刊「トラポルト」第296号「正論・対論」より/写真:2013年12月に開かれた全タク連正副会長会議で、富田会長がこの御守のおかげで、タクシー新法を成立させることができたと言いながら掲げた熊本・阿蘇神社の御守