国際観光タク創設は先駆者に学べ
2014年5月12日・第295号
日本を訪れる外国人観光客は昨年、1036万人を超えた。そうしたなか、大阪で5月9日、外国人観光客を対象にしたインターナショナルタクシー創設に向けた作業部会が開催された。当面、100人の運転者を登録させたいと鼻息は荒い。
中長期的には、3年後に500人にするという壮大な計画だが、果たして質はどの程度伴うのか、と疑問を抱きたくなる。というのも、少なくとも、記者には現状でどの程度の質の国際観光タクシー運転者が大阪にいるのか、という実態が分からないからだ。
実際に作業部会に出席したホテル関係者や旅行業関係者からは、「A地点からB地点まで送るだけならまだしも、ネイティブと同じぐらい外国語を自由に操れないと、とても観光タクシーとは言えない」という趣旨の厳しい発言が相次ぎ、肝心の予約システムの論議まで辿りつずに終わった感がある。
現実に国際観光に取り組むタクシー事業者はどうしているのか、という観点から現状把握に務めることを優先させるべきではなかったか。論議では、何回もMKの社名が出たが、MKの観光タクシー運転者は、日夜勉強に励み、文字通り血のにじむような努力を重ねて、ようやく外国人観光客からのオーダーをゲットすることができる。競争力も問われる厳しい世界だという。
そうした運転者から直接、体験談なりのレクチャーがあれば、もっとスムーズで具体的イメージに基づく会議になったかもしれない。机上の論議ばかりでなく、先駆者に学ぶ姿勢があるのかも問われてくる。
関係者の努力には敬服するが、厳しく言えば、先駆者のマネもできないようでは、それを超える壮大な国際観光事業はおぼつかない。多額の費用が投入されるのから、なおさら成功への貪欲さが必要だろう。
<山田>
※5月12日付・週刊「トラポルト」第295号「正論・対論」より/写真:5月9日、大阪市中央区の「プリムローズ大阪」で行われた大阪インターナショナルタクシー創設委員会・作業部会