京都の深夜早朝割増廃止申請は認可されるか

2014年4月21日・第293号

国土交通省は4月14日、「深夜早朝割増運賃を設定していないタクシー事業者等に対する調査の実施について」と題する文書を、全国の運輸局自動車交通部長などに発出した。

それによると、「深夜早朝割増を設定していない事業者や割増率2割未満を設定している事業者にもタクシー特措法一部改正法の附帯決議を踏まえて賃金制度等の改善等を進めていく」などとしている。

現在、京都市域で深夜早朝割増を廃止しているのは6社・約650両と法人が保有する一般タクシー等車両数の1割余りだが、MK、ヤサカグループなど廃止申請中の20社余りが認可されれば、約7割が深夜早朝割増をしないで夜間も運行することになる。

国交省は当初、これら20社余りの事業者など新たに申請した事業者に対してだけ、深夜労働に対する割増賃金が支払われているかどうかを確認するため賃金台帳等の提出を求め、割増賃金が支払われていなければ、元の2割増料金に戻すなどの是正指導をするとしていた。

これが「既得権」擁護と揶揄されることとなり、京都の労働組合からも「申請を認めるな。仮に認める場合でも、現在廃止している事業者に対しても深夜割増賃金が支払われいるかを厳格にチェックする体制を整えよ」という強い要請が国交省からあったという。今回、国交省が出した文書には、このような声が反映されていると理解したい。

けれども、うがった見方をすれば、国交省は「あなた方の言い分を認め、すでに割増を廃止している事業者にも賃金台帳等を提出してもらうのだから、現在申請中の案件は取りあえず認可しますよ」と言っているようにも聞こえる。

あたかも喧嘩両成敗のような決着のつけ方にも見えるが、そもそも最初に深夜早朝割増廃止を認可してのも国交省。既存事業者も含め、「深夜早朝割増料金は絶対に必要」とすれば、すべての問題は解決できるのだが、それができないところに弁慶の泣き所があると言えそうだ。

<山田>

※4月21日付・週刊「トラポルト」第293号「正論・対論」より/写真:昨年9月の全タク連正副会長会議であいさつする国交省の田端浩・自動車局長(写真・右上でマイクを持ち発言)