行政は多数の事業者の期待に沿えるか

2014年4月7日・第292号

MKはいまのところ、東京と大阪を除き、全国のグループ会社で地域最安値を実施している。

その最たるのが京都のMK。京都は運賃改定分の9・9%に消費増税分の3%が加わり公定幅運賃となっているが、もともと旧上限よりも1割余り安かった運賃に3%を加えただけの運賃になり、公定幅上限からは2割余り安い運賃で運行している。

現在、深夜割増を廃止している事業者は上限で運行しているので、「昼も夜も安い」という宣伝は間違いではない。しかし、下限を選択した事業者による深夜割増廃止申請が認可されるであろう今夏以降はどうなるのか。どうやら、その時に備えて、身障者2割引などさまざまな割引運賃を考案している、とも思われる。

では、最安値であるはずのMKタクシーに乗るとどうなるのか。上限から2割安いタクシーであっても、下限運賃との比較では、比較的近距離利用ではそう大差ないという利用者の証言がある。

だから、長距離利用者が出る深夜市場にどう打ち勝つかということになっていくのだろうが、業者間のもっぱらの関心はそちらではなく、近畿運輸局がいつ「違法運賃」の是正に乗り出すのか、という点だ。

冗談ではなく、行政の打ち出し方が強いか弱いかによって、今後京都市域の運賃競争がとんでもない方向で混乱してしまう危険をはらんでいるのである。そうならないためにも、行政への期待はさらに大きく膨らむ。

<山田>

※4月7日付・週刊「トラポルト」第292号「正論・対論」より/写真:4月1日からMKがタクシーのリアーウインドーに掲出した 消費増税対応の告知。「試練に耐える」のは、一体だれなのか?