東京・日本交通 大阪進出は何を意味する?
2014年3月31日・第291号
東京の大手の一角、否、最大手である日本交通(川鍋一朗社長)が大阪に進出してきた。その手始めは、合計45両で出発するということだ。
一つは、かつて関西中央グループの中核を担ったユタカタクシー22両と、もう一つは、栄和交通から23両を分割譲受の手続き中である日本交通グループの東京ひかり交通子会社・ひかり整備(いずれも東京・日本交通に商号変更)の2社計45両。ユタカタクシーも栄和交通も関西ハイタク事業協組に所属している。
その一社、ユタカタクシーを保有していた関西中央グループの薬師寺薫代表が3月25日、記者会見を行った。薬師寺氏はこれまで数十年の間に15~16社を買収し、大阪で押しも押されもせぬ大手タクシー会社に成長させた第一人者だ。
その一つの会社譲渡にあたり、感慨ひとしおかと思われたが、意外にクール。「これまで買収でグループを大きくし、名称も残すことに拘らなかった。現在も譲受当時の名称がそのまま残るのは、大商交通ぐらいではないか」と語る。
関心は、大阪に進出した後の日本交通の経営方針。東京のようにハイヤー営業を中心に据えるのか、流し営業にも力を入れるのか。経営的に安定が図られる関東から飛び出したのはなぜか。かつて規制緩和当初、関西の事業者が東京での成功を目指した時期があった。時代は大きく舵を切ろうとしているようだ。
<山田>
※3月31日付・週刊「トラポルト」第291号「正論・対論」より/写真:昨年6月の全タク連通常総会で発言する川鍋一朗・日本交通社長