しばらく「手弁当でガマン」が続く
2014年3月24日・第290号
改正タクシー適正化・活性化法の目的の一つに、需要喚起がある。いま、今秋をメドに特定地域が指定されるなど全国的に減車・適正化を再度行う方向なので、にわかに需要喚起、すなわち活性化と言われても、ピンと来ない向きも多いのではないか、と思われる。
先日、活性化策について国交省幹部と話す機会があった。いったい活性化策とは何なのか。その人の名を明かすことはできないが、需要喚起のため損失や労働条件を悪化させない程度で、利用者を引き付ける「運賃割引」ということだ。
しかし、例えばスマホ配車。東京では米国ウーバーが試験的運用を始め、大阪では英国ヘイローが営業拡大を始めた。ヘイローを使う運転者に聞くと、運賃額の過多に関係なく1回の配車で10%の手数料を払い、クレジットカード併用のときにはさらに5%の手数料が上乗せされるという。「ワンメーターのお客さんでも1割引かれます」と嘆く運転者さん。
運賃の10%を運転者が負担して、初めてスマホ配車の利便性を、利用者が享受できる仕組みなのだ。だから、国交省は国産スマホ配車の開発を推奨している。
理想は、利用者からさらに10%上乗せして支払ってもいいと思われるサービスの追求なのだろうが、他社が追随できない運賃で良質なサービスを提供する事業者の出現を許す限り、しばらくは手弁当のサービスで対抗せざるをえない。
<山田>
※3月24日付・週刊「トラポルト」第290号「正論・対論」より/写真:3月20日、大阪市中央区の近畿運輸局で行われた定例自動車交通部長記者会見から