マスコミは5・5遠割 継続望む?

2014年3月17日・第289号

大阪業界で2月下旬から動き出した5000円超え分半額など、「過度な遠割」を止め、7000円超え分3割引きなど「緩やかな遠割」への変更申請は、今週中に相当数の事業者が取り下げるものと見られている。

共同通信が3月15日、配信した記事を掲載した地方紙によると、「5千円超半額のサービスは、大阪タクシー協会に加盟する160社のうち約140社や、非加盟の会社が導入している」とした上で、約100社が見直す方針と報道。

そして、遠割を適用しない場合の運賃が1万円だった場合、実質1600円の値上げと弾いている。これを指し、「長距離利用者には大きな負担増となり、論議を呼びそうだ」としており、最終的に「この動き」を封じるのが目的と推測できる。

実際に取り下げの動きを確認した上で、あたかも記事の影響だったかのように「一般読者」に思わせるのは大手マスコミの常とう手段。「ナルホド」と、うならせる上手い切り口だ。どうせなら、もっと早い時期に記事化していた方が、「記事の影響」は実効性をもって現れたに違いない。

『京都新聞』では「京都では大手のエムケイなどが5千円超を半額にしており、エムケイはサービスを続ける」と結んでいる。利用者からみれば「5・5遠割を継続する事業者がいる」と受け取れる朗報になるかもしれないが、業界側からみれば、この時期のこの記事は、何をかいわんやだ。

<山田>

※3月17日付・週刊「トラポルト」第289号「正論・対論」より/写真:JR新大阪駅タクシー乗り場出口付近