深夜割増廃止が拡大 警鐘を鳴らせるか

2014年3月3日・第288号

2月28日、全国で公定幅運賃が公示された。3月3日から届け出が始まる。近畿では兵タ協会長会社の西神交通が公示のあった28日、早々に公定幅運賃上限で届け出て、範を垂れた格好だ。

しかし、公取委の目は今、消費増税分の商品価格転嫁に伴う値上げに向いているから、要注意だ。行動では示せても、「余計なことは言うまい」という、言論統制にも似た変な空気が業界を漂っている。

より変な空気が漂っているのは、京都業界だろう。運賃改定と消費増税の運賃転嫁がダブルで来るため、業界として利用者に「なぜ、こんな値上げになるのか」周知を図ることになり、そのプロジェクトが組まれている。主なものは車内における吊り告知や協会HPによるPRだという。

その値上げムードに水を差す報道が一般紙であった。京都で大手を含む7社が大幅値上げによる乗り減りに歯止めをかけるため、深夜早朝2割増し料金を廃止するいうものだ。検討中とされる彌榮グループが加われば、なかばスタンダード化し、さらに拍車がかかる可能性がある。そのスピードは大阪で5・5遠割が広がった時よりも速く、危機的な状況になりそうだ。

兼元・京タ協副会長は、行き着くところまで行き、雨降って地固まるまで待たなければならないと。食い止めるこにはどうすべきか。近く発出される通達が「形無し」にならないよう、今こそ労組が立ち上がる時だと思うが、警鐘を鳴らせるのは誰か。

<山田>

※3月3日付・週刊「トラポルト」第288号「正論・対論」より/写真:JR京都駅北口タクシー乗り場待機場