時は第二次世界大戦前夜に酷似?
2014年2月24日・第287号
5000円超え分半額の遠距離割引を廃止する動きが大阪業界で出てきた。経営者と運転者にとっては喜ばしいことだ。
在阪労働団体から約800人が2月19日、「エル・おおさか」に集い、タクシー新法の実効性を求め、遠割廃止を求めた。その後約4kmをデモ行進した。
その甲斐があってか、翌々日開かれた大タ協理事会で、駒姫タクシーの藤原悟朗社長が自社の遠割廃止など今後の方針を示した。藤原氏は「まるで第二次大戦前夜」のようだと現在の大阪業界を表現している。
タクシー新法が施行されても、運賃と減車について業界団体が論議し、決めることは許されない。それどころか「示唆」さえも危険領域なのだそうだ。減車は、特定地域に指定され計画が認定されてから一定の範囲で論議していいことになるが、準特定地域の今はダメなのだという。
運賃については、ある業界紙の記事が公取委に届き、それを読んだ担当者が大タ協に注意をしたという。そのことは、2月21日の大タ協理事会冒頭で報告された。その業界紙の事実誤認も含めた「注意」だったようだが、タクシー新法の参院付帯決議に従い、業界で遠割廃止の動きがある最中に情報が回り、機先を制せられた格好だ。
公取委の報告を聞くと、相手方が「思った」だけで法律違反になるという解釈がまかり通るようだ。事実に基づく説明は必要ないという役所があるのなら、時はやはり第二次世界大戦前夜なのかもしれない。
<山田>
※2月24日付・週刊「トラポルト」第287号「正論・対論」より/写真:2月19日、大阪市中央区の「エル・おおさか」で在阪労働団体が開催した「改正タクシー特措法の実効性を求める労働条件改善、5・5遠割廃止を求める抗議集会」の模様