京都運改延期 実施直前に掬いの手
2014年1月13日・第281号
「規制緩和の実験場」と揶揄されてきた京都で、17年ぶりの運賃改定実施が期待されたが、申請車両数が全法人・個人の2割を少し上回る程度に留まったため、近運局は延期を決め、周知した。
認可の10日直前になり取り下げが殺到し、結局は19社約3千両に及んだことが原因としている。近運局は10日発出したプレスリリースで、「一部事業者の申請取り下げを発端に、多数の事業者から申請が取り下げられる事態となり…」と、あたかも最初に取り下げたヤサカグループら9社に延期の原因があるかのように説明しているが、果たして本当にそうだったのか。
今回の京都市域運賃改定申請が始まった当時は、アベノミクス効果はおろか、消費増税実施も正式に決まっておらず、まだタクシー新法も上程されていなかった。増税実施にゴーサインが出たのは申請が8割に達し、公示されたころと記憶する。
まさに、先行き不透明のまま、京都の申請事業者らは「制度がそうなっているから」というだけで、ベルトコンベヤーに乗せられるがごとく、行政の認可を待たなければならなかった。そこには新たな情勢を睨んだ選択の余地などは残されていない。
記者はドタバタ劇となった今回の「延期」は誰に責任があるのか、という質問を聞く。が、誰もが拱手傍観していたら、9・9%の運賃改定は永久に公示されなかったろう。ワンコイン並みの運賃水準から解放されることを、業界はどう捉えるのだろうか。
<山田>
※1月13日付・週刊「トラポルト」第281号「正論・対論」より/写真:昨年(2013年)10月24日、京都市伏見区の「京都自動車会館」で開かれた「タクシーに関する懇談会」(運賃改定実施を前提にした利用者懇談会)