MKの動きで、京都は真冬の剣が峰
2013年12月16日・第279号
本紙一面、コラム「乗此処知」(のりごごち)で書いたように、エムケイは今のところ、京都の運賃改定公示後、申請を取り下げる意向のようだ。
記者は、エムケイ幹部から直接この意向を聞いた時、「エガワる」という言葉が誕生した「空白の一日」を利用した阪神と巨人の電撃トレードを思い出した。トレード要員に出されたのは、巨人で当時エース級の働きをしていた故・小林繁投手。大学を卒業し、就職浪人していた怪物・江川卓投手を獲得するため、阪神がドラフトで交渉権を得ていた江川氏の獲得に、巨人がなりふり構わず動いた「事件」である。
しかし、持ち掛けるだけで相手が断れば類まれな事件は消滅してしまう。受ける側もキチンと応じる姿勢がなければ、こんなバカは話は誕生しない。だから、巨人も巨人なら阪神も阪神、という話になる。
今回、エムケイが取り下げるとすれば、新運賃公示から2週間の間。空白の2週間は余りにも長く、後続者がどれだけ現れるか分からない。積極的な加担かどうかは別にして、客観的に見ると、行政が相談を受け、イエスと答えていたなら容認したも同然。ならば、未申請のまま下限割れ運賃を適用している事業者の方が、よほど筋が通っているということになりはしないか。
17年ぶりとなる京都の運賃改定にケチを付けるつもりは毛頭ないが、これまで以上に運賃格差が開くかどうか。今、京都業界は真冬の剣が峰に立たされている。
<山田>
※12月16日付・週刊「トラポルト」第279号「正論・対論」より/写真:12月12日、京都市伏見区の「京都自動車会館」で開かれた京タ協定例理事会。起立して発言するのは牧村史朗会長