大災害発生 無線事業者はどう動くか
2013年12月2日・第277号
(一社)近無協が大震災や台風など自然災害時に地域貢献しようと「タクシー無線の災害対策マニュアル」を作成し、その実用化に乗り出した。
タクシー無線機メーカーの新潟通信機の協力で研究を進めた。できるかぎり現状の設備を使い、自然災害の影響を受けないでできる方法を考え、その実験にこぎつけ、11月21日にプレス発表した。
それは、集中基地局を使う大都市における災害発生を想定したもので、事業所にある配車センターから集中基地局をむすぶ制御線が何らかの原因で断線した場合の応急措置とも言える。
技術面を含めた詳細は本紙前号の一面に掲載したのでお読みいただくとして、総合通信局の認可さえもらえれば、比較的安価かつ軽微な設備で、移動局を搭載するタクシー間の通信が可能になるというものだ。
携帯電話の通信網を使った「モバイル」方式の配車システムが幅を利かせつつあるある中、単体で周波数を持つ既存のタクシー無線を見直そうという気風が、徐々に持ちあがりつつある。
記者は、大阪市が主催する危機管理セミナーに取材に行った時、かつて政府の危機管理室にいたという講師の「再度阪神・淡路大震災のような災害が発生したら携帯電話は使用できなくなりますよ」という発言を、ふと思い出した。
その話を聞いた時、記者は思わず身を乗り出したが、それ以上突っ込んで話されることはなかった。そもそも、「大災害時」とは一体、どんな想定なのだろうかと考えると、いま激化する近隣国との領海争いと決して無縁ではないよう気がしてならない。
<山田>
※12月2日付・週刊「トラポルト」第277号「正論・対論」より/写真:11月21日、大阪市都島区の新潟通信機大阪市店で開かれた「タクシー無線の災害対策マニュアル」に基づき、制御線「折り返し」実用化実験について説明する近畿自動車無線協会の村井清和・専務理事