タクシー新法に魂を入れるのは誰か

2013年11月4日・第273号

富田会長と坂本本部長の宿願だったタクシー新法が、3党の議員立法で国会に上程された。

現在施行から4年を経過しているタクシー特措法の不備是正を目的として当時政権を執っていた民主党主導でタクシー事業法を成立させ、再規制を図ろうというのが出発点だった。

しかし、民主党の力量低下と昨年末の総選挙で自公政権が復活。特措法の一部改正という手法に変わった。その後も自公政権は夏の参院選で国民の信を得る。反対に、民主は徐々に小さくなっていった。

だが、タクシー新法の上程を何よりも喜んでいるのは、昨年亡くなった全自交労連前書記長の故・待鳥康博氏ではないのか。

待鳥氏は病床にあって、御見舞いに来た渡辺博道氏の手を握り、「今度の衆院選では自民が勝ちます。どうか、全国のタクシードライバーのため、先生が新法を成立させて下さい」と懇願したという。この話は、今年1月、都内のホテルで執り行われた「待鳥さんお別れの会」で、全タク連・特別委員会本部長を務められる坂本克己氏が、経営者を代表した弔辞で語った内容だ。

タクシー新法は11月中の成立を目指している。上程まで時間をかけたが、この法律は公布後2カ月で施行される。記者は、ここからが本当の勝負だと思うのである。新法という仏ができても、全事業者が受け入れ、動かす気概がなくては元の木阿弥。待鳥氏は、天国から「魂を入れるのはわれわれだ」と言っているような気がする。

<山田>

※11月4日付・週刊「トラポルト」第273号「正論・対論」より/写真:10月30日、名古屋市の「ウェスティンナゴヤキャッスル」で開かれた全タク連・第53回全国ハイヤー・タクシー事業者大会閉会後の懇親会・乾杯の瞬間