ハロー! ヘイローとなるかどうか

2013年9月23日・第269号

英国のベンチャー企業で、タクシーと利用者の位置情報等をマッチングさせ、効率良い配車に取り組むヘイロー社が大阪を皮切りに、本格稼働し出した。

現在、ほとんどの日本のタクシー会社が採用している配車システムは、利用者の電話や携帯、パソコンからの配車要請を無線基地局を通して移動局へ情報を流す方式。だが、ヘイロー社のものは、一言でいうと同社と契約しているタクシーが営業中ならいつでも、最寄りの位置からスマホで配車要請した利用者を乗車させることができるものだという。

すなわち、そのタクシーを保有している会社はタクシー基地局や異動局を持つことなく、運転者が身につけているスマホひとつで事足りるというものらしい。ちょうどITの情報管理でクラウドがあるが、考え方はそれと似ていると言えそうだ。

ヘイロー社はコストダウンと効率的配車をセールスポイントとして強調しているが、実際にはどのような契約内容になっているかは、これから明らかになっていく。

しかし、自社ブランドによる囲い込み戦略を持っている事業者やスマホを使いこなせない世代にはやっかいな代物だ。一方、見方を変えれば、これまで流し営業を専らとしてきた事業者にはスマホ世代獲得の打って付けのシステムになる可能性もはらんでいる。

TPPへの参画交渉の表明、東京五輪の招致実現など、ここに来て日本市場がさらなるグローバル化を辿らざるをえない要件が矢継ぎ早だ。海外の利用者をどう迎え入れるか、今こそ全タク連と国内無線メーカーが手に手を取り合い、オールジャパンで真剣に検討しなければならない。

<山田>

※9月23日付・週刊「トラポルト」第269号「正論・対論」より/写真:ヘイロー参入の報道が『日本経済新聞』であった翌日の9月20日開催された大タ協理事会。右から3人目がヘイローを導入した北港梅田グループの古地愛一郎代表(大タ協副会長)