五輪決定の今こそ真摯に語るべし

2013年9月16日・第268号

2020年東京五輪は国立競技場をメーン会場に、都内33会場と北海道、宮城、埼玉、神奈川県各1会場(サッカー1次予選)計37会場で行われる。テロ対策には万全の自信があるようだ。

しかし、国土強靭化を掲げる安倍首相と主催自治体の猪瀬都知事は、ウオーターフロントであるお台場に競技場や選手村が集中するが、地震や津波など自然災害からの危機管理についてどうお考えなのか。

ブエノスアイレスの五輪招致プレゼンで、安倍首相は東日本大震災で発生した福島原発事故に触れ、「アンダーコントロール」にあると安全を訴えた。それを実証し、津波災害の教訓を真に生かすため、主要会場と選手村は安全な内陸部に設置すべきではないのか。むしろ、そのために多くの研究資金と建設費用をつぎ込むべきである。

内閣官房参与の藤井聡・京大教授は、かねてから自然災害に対応する国土強靭化を強く主張。安倍内閣もその言葉を取り込んだ。藤井氏はマスコミの質問に「アベノミクスは国民皆でつくっていくもの。首相が間違えたら正すのがわれわれの役目」と主張している。昨年末、国会での「世紀の大演説」で表明されたように、学者生命を賭けて、その実現に向け頑張ってほしい。

いわゆるラスプーチンには、耳触りの良い発言を繰り返し、国をダメにさせてしまうものと、耳の痛い発言をして国をより良い方向へ正すものとの2通りがあると考えるが、読者の皆さんはどうだろうか。

<山田>

※9月16日付・週刊「トラポルト」第268号「正論・対論」より/写真:週刊「トラポルト」1面の9月11日開催の全タク連・9月正副会長会議写真より、左から富田昌孝・全タク連会長、田端浩・国交省自動車局長、瓦林康人・国交省旅客課長、三浦宏喜、川鍋一朗、佐々木昌二の各副会長(敬称略)