道運法改悪案 次期通常国会で上程か

2015年7月21日・第338号

  7月15日に国交省からの出向で新潟県副知事に就任した寺田吉道・前自動車局旅客課長は前日、最後の講演を行った。

  台風11号の影響が心配されたが、静岡県伊東市のホテルで開かれた全自交労連2015セミナー会場には、坂本克己・全タク連・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員会本部長、神谷俊広・全タク連理事長も来賓出席していた。

  寺田氏は「タクシー事業の現状について」をテーマにしたが、実際にはウーバーを始めとするライドシェアに関する話がほとんど。「政府としてシェアリング・エコノミーをどう考えているのかが分かる文章があるので紹介したい」と次のように述べた。

  「日本再興戦略会議に『シェアリングエコノミーで新たな市場を活性化していく』とある。具体的な対象分野は示していないが、一番先行しているのは空き部屋利用に関するもの」とした上で、「シェアリングエコノミーをしても良い分野と良くない分野があり、『この分野は安全上の問題があるが、こちらは問題がないので良い』という議論が進められるだろう」「太田大臣は先々週の国会答弁で『安全の確保が確認できないものについて進めることはできない』『安心・安全の確保には運転者の技量がしっかりと評価され、プロとしての誇りをもって仕事ができることが重要」と述べている」

  次期通常国会で道運法改悪案上程が囁かれるが、全力を挙げて阻止に向けた運動を続け、どうしても叶わなければ、政府はタクシー関係者の意見を取り入れた慎重な審議を期すべきだろう。

<山田>

※7月21日付・旬刊「トラポルト」第338号、旬刊「トラポルト九州」第43号「正論・対論」より/写真:7月14日、静岡県伊東市の「ホテル聚楽」で開かれて全自交労連2015セミナーで、国土交通省旅客課長として最後の講演を行う寺田吉道氏