《人気コラム》
植田耕二氏著「直球・曲球」

「“タクシー王”の正体見たり!」

2011年7月18日付 第169号掲載

古い話で恐縮だが1990年6月21日付トラモンド紙の前身「交通界速報」は◎勝山で会社側を糺弾ビラ配布/全相労、抗議行動を展開◎という見出し記事で『全相互タクシー労働組合は18日、職場改善要求などを掲げた16日の団体交渉で会社側が誠意ある回答を示さなかったとして、勝山市内で会社側に対する抗議行動と地域宣伝行動を行った。18日の行動は、午前9時から午後5時にかけて展開。「勝山に巣食う魔物」「だれが(多田清)会長の名前を偽り決済しているのか」などと記した糺弾ビラを勝山市内で配布し、宣伝、抗議活動を行った』という記事を掲載している。

上記記事の掲載された新聞第一面<焦点>欄に『「タクシー王」の正体が見えてきた』と題し、筆者が一定の主張を展開している。ここにそれを紹介する。

『タクシー業界も創業経営者の時代が去り、いわゆる2世、3世経営者の時代に入ってきたようだ。創業者は現場からたたき上げの人が多かった。2世、3世となると大学こそ出ているが創業者ほどの情熱も力量もなく、漫然と社長に納まっている例を見受ける。「売り家と唐様で書く三代目」と古川柳にあるように会社の後継者問題は難しい。相互タクシーの多田清氏といえば、この業界に君臨し「タクシー王」の名をほしいままにしてきた人である。その人の起こした事業の継承はどうだろう。同志社大学に在学中といわれる20歳を超えたばかりの学生社長が生まれ、実権はその人の実母・小野親子氏(当時の名前)が握っている。(中略)学生社長の実業家としての資質はともかく、現時点で大相互グループ総帥として力量不足は否めない。いくら老齢になってからの愛人とその子供が可愛いと言っても、数多い後継者の中から力量ある人を一方的に排除した、この措置は心ある業界人の物笑いのタネとなっている。(中略)多田氏は壮年時、われわれを前に「事業の社会的責任」「利益の社会的還元」を口をすっぱく説いてきた。「タクシー王」の後継者問題の失敗を目の当たりにして、この人の正体を見た思いである』