《人気コラム》
植田耕二氏著「直球・曲球」

「内部から小野氏に異議申し立て」

2011年7月11日付 第168号掲載

前号で「相互タクシーグループはどこへゆく!」と題し、「小野幸親氏が経営している相互タクシーの前途はなきに等しい」として、「タクシー王とまで言われた多田清氏が作った相互タクシーは、いままさに風前の灯火となりつつある。事業は人なりと言うが、まさに相互タクシーの現状は、その言葉を証している」と書いた。

どこからか抗議が舞い込むことを承知でそう書いたのだが、抗議の声はどこからも来ず、「よくぞ書いてくれました」という声が相互タクシーに関係がある人やかつて逢った人からやって来たのである。『越前大仏』の本と同時に、神戸相互タクシー株式会社、堺相互タクシー株式会社、泉相互タクシー株式会社、三国相互タクシー株式会社、比叡山観光タクシー株式会社、元相互タクシー重役有志らの連署による平成2年8月31日付「声明書」がわが家の書庫から出てきた。「よくぞ書いてくれました」の声に励まされて20年も前に出された「声明書」の一部を、ここに紹介しておきたい。

「相互タクシーの多田清会長には数年前から高血圧症のため故郷の勝山市において社業をみながら静養されていたが、昨年12月に病状が悪化し、一時は生命の危険すら案じられるようになった」「今年4月、相互タクシーの後継者として子息精一氏を社長に任命し経営にあたらしめることとされ」たが「実はこの時期から少しく問題が起こっていたのである」として①新社長の多田精一氏はまだ21歳。社長としての職務はまだ無理②経営中枢を預かる幹部、管理職が次々に退職し、補填されないまま放置され管理面の不備が表面化している③施設面の老朽化が進み保全されないままである、など五つの理由を挙げ、新社長の対応がなっていないことを指摘、全相互労組が不安と焦燥から経営刷新を求めて抗議行動を起こすに至っていることを明らかにしている。

また「多田家には会長と共に60年、苦労を共にしてきた幸婦人も健在であり、その一族もおられる」として、ついに小野幸親氏の経営手法に抗議の声をあげたのである。(以下次号に続く)