ライドシェア問題対策特別委員会設立
6月度 全タク連正副会長会議で了承
富田会長 ウーバー提携のトヨタ自動車に苦言


【東京】全国ハイヤー・タクシー連合会(富田昌孝会長)は6月8日、東京都千代田区の「自動車会館」で、6月度定例正副会長会議を開いた。冒頭、富田会長は5月度定例正副会長会議で設立を提起した特別委員会に触れ、「皆さんの意見を参考に設立する。ネーミングについても意見を聞きたい」との考えを示した。

  特別委員会は、「ウーバー、リフトのライドシェアシステムの研究」「タクシーサービスの更なる高度化策の検討――スマホ配車システムの普及促進等」「自・公・民のタクシー議連との連携及び国会議員への根回し」「国土交通省、警察庁、厚生労働省との連携強化」「労働組合との連携強化」「個人タクシー業界との連携強化」「バス業界との連携強化」「マスコミへの発信」「消費者団体への発信」「地方自治体への発信と連携強化――特措法に基づく地域協議会の活用、乗合タクシー事例集の充実と普及促進等」「全国タクシーガイドへの全事業者搭載達成と提供サービスに関する発信情報の充実」などを掲げている。

  構成案には、委員長に富田昌孝・全タク連会長、委員には、川鍋一朗副会長、川野繁副会長・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員長、伊藤宏副会長・総務委員長、田中亮一郎副会長・地域交通委員長、樽澤功・交通安全委員長、主査には、佐藤雅一・経営委員長、武居利春・労務委員長、川村泰利・技術環境委員長、漢二美・ケア輸送委員長、藤原廣彦・広報サービス委員長――の名前が連れられている。

  富田会長は特別委員会の設立趣旨について、つぎのように語った。

  政府はシェアリングエコノミーの推進をライドシェア推進の隠れ蓑にしている。ライドシェアは世界70カ国に広がっていることが背景にある。この動きが活発化し、マスコミは国内で白タクが合法化されて当たり前だという論調だ。行政側にもプレッシャーをかけ始めている。

  これに対し、タクシー議連、国交省など皆さんの意見を聞くと、「ライドシェアは安全面が危ないと強く言うべきで、この広報をどんどんやるべき」というものが多い。マスコミの力が強いので、これをどんどん言わないと、「安くて、皆が重宝に使えるからいい」ということになってしまう。

  一般の国民は安全面まで考えていないので、我われが「危ない」と言わなければならない。私たちのタクシーサービスには長い伝統があるが、ここで立ち止まり、「今のままでいいのか」と考えなければならない。

  ライドシェアはいろいろなサービスをやっている。これに対し、私たちはそれに限らず、いろいろなタクシーサービスをやっていかねばならない。国交省の「新しいタクシーのあり方検討会」で答申がでた。この答申に添い、利用者の立場に立ってタクシーを少しでも良くしていくことが、ひじょうに大事だ。ライドシェアを乗り超えるような良いことをやっていくための参考にしていけばいいのではないか。

  また、ライドシェアを推進する陣営にも、答申にも書いていないことが結構ある。どういうことをやれば利用者に喜んでもらえるのか。そのようなことを、特別委員会で論議していきたい。

  本日、話したいことが2つある。1つは、特定地域指定の問題。改正特措法は、何のために作られたのか。やはり運転者の賃金を正常化させ、利用者の安全を確保するのが基本だ。タクシーは、バス、トラックと比較すると賃金が安い。今でさえ人手不足なのが、どんどん離されていく。特定地域に指定された地域または候補の地域は、頑張って少しでも良くなるよう努力してほしい。

  私たちの置かれている状況は、ひじょうにたいへんで、人手不足が蔓延している。タクシー業界は、バス、トラック以上の人手不足に陥っている。特定地域を利用して、少しでも人手不足をカバーできれば、と思っている。

  5月19日に産業競争力会議があり、ライドシェアの検討会を開くとされている。タクシー業界としても、何か対応を考えねばならない。そこで、特別委員会の設立提案をした。業界は、政治面で国会の先生方の世話になっており、坂本克己・タクシー事業適正化・活性化推進特別委員会本部長にはお世話になってこれまできている。これについては、坂本本部長を中心に、今後とも活動を続けていきたい。

  過疎地の問題では、京丹後で安居早苗・京都府タクシー協会会長にご苦労いただいたが、京丹後にウーバーが滑り込んでおり、これがどのようになっていくのか、危機感を持って見守っている。京都の皆さんには何とか、ウーバーが出ていくような努力をしてほしい。

  全国の過疎地があるところでは、このような問題が起きないよう、自治体とよく相談し、協力し合いながら、タクシー業界で移動問題について取り組んでいかねばならない。これが、ライドシェアから業界を救う大きな柱になると考えている。重視して頑張ってほしい。

  これについては、田中亮一郎副会長(九州乗用自動車協会会長)担当の地域交通委員会でお世話になっているが、リーダーシップを取りながら、対策に取り組んでほしい。

  特別委員会の内容は、「タクシー業界はこのようなことを利用者のためにやろうとしている」という花火を上げ、広報し、それに向かって我われが頑張っていくことが、どうしても必要になってきた。

  我われは地味で、宣伝がうまくないが、ライドシェアを推進する人たちは、実に広報がうまい。ここで、我われが一致団結して、頑張って世間に訴える。

  活性化の問題は、特別委員会でやることだが、「タクシー革新プラン2016 〜選ばれるタクシー〜」に内容が出ている。これを丁寧に一つひとつやっていく。

  また、ライドシェアは、「このような点がタクシーよりも優れている」と言っているが、それを全部検討すると、我われの業界でほとんどのことができる。特別委員会で、何ができて、どのようにするのか、方法の検討をしていただく。その特別委員会をぜひ、設立したい。東京タクシーセンターには、両者に属さない問題がたくさんあり、こうした小さな声を生かすのが大事になる。

  「トヨタ、米ウーバーに出資へ 戦略提携検討」という題字が5月25日付・『日本経済新聞』で躍った日、豊田章男社長と全タク連で1時間話をした。

  話を聞いていくと、ある意味では理解できるが、ある意味では理解しがたいという問題がかなりある。実際にはそうではない。これから発展していったらそうではない、という問題がかなりある。最後には「豊田章男を信用してほしい」というひと言で終わってしまったが、1時間の会談の中で、何回も「私を信用してほしい」という言葉を聞いた。

  私は、「一応信用して頑張っていきたいが、ウーバーとタクシー業界は戦争をしている。その敵に塩を送るようなことは、どうしても許せない」と伝えた。

  豊田社長は「タクシー業界と一体化して、このタクシー業界をよくしていく。利用者の安全・安心を確保していく。そのために、全面支援する」と言っていた。

  具体的にどのようなことを言っているのか、ということについては、今後のトヨタ自動車と業界との間で行われる打ち合わせ会(定期的に開催。初回は7月末予定)で行い、合意が取れれば、それを発表していく。

  また長崎県タクシー協会会長の川添一巳・前会長がマスコミにいろいろな発言をしていて、たいへんな支援をしていただいた。思いきったことをおやりになったと嬉しく思っている。議連でも話題になっている。これだけの評価を受けるなら、これを2つ、3つ、4つ、5つとやっていけば、タクシー業界の評価が高くなるのではないか。

  宮城県タクシー協会の佐々木昌二会長が2種免緩和を要請している。何年もの間、これを叫んでこられたが、ようやくこれができるようになる。期待するほどの内容にはならないかもしれないが、ステップを踏んで少しでも前進すれば、業界は大いに助かるのではないか。

  福岡市タクシー協会の中井眞紀会長は沖縄のレンタカーの問題等で石井大臣に陳情している。地方の皆さんが陳情に来るのは、たいへんいいことだ。力が結集すれば、私や理事長がやるよりも大きな力が発揮できる。