楽天・三木谷氏「本格的な攻勢始まった」と危機感
富田会長 対応策に「特別委員会」設置を提起
参院選後に具体的対策を決める方向示す


【東京】全国ハイヤー・タクシー連合会(富田昌孝会長)は5月11日、東京都千代田区の「自動車会館」で5月度正副会長会議を開いた。

  冒頭、富田会長は、4月14日の前震を端緒に、いまだ余震が続く平成28年熊本地震に触れ、「熊本、大分でたいへんな大きな地震があった。全タク連としてお見舞いを申し上げます」と述べ、「全タク連としても、義援金を少しでも多くと皆さんにお願いを申し上げている。上限はない。協力していただければ、九州の皆さんにも、喜んでいただけると思う」と要請した。

  楽天の三木谷浩史・会長兼社長が出しているペーパーを見ながら、「本格的にやるつもりだな、と大変な危機感を持っているが、それを政府が取り上げるかどうかはわかっていない」とした上で、「夏の参院選が終わってから、いろいろな方針が出されてくる、という気がしている」との見方を示した。特定地域指定については「現在も当該地では、ご苦労されていると思うが、時間がかかり過ぎているという気がする。できるだけ早いめに、方向付けをしていきたい。時間がかかると、だんだん業界の評価が下がり、やりにくくなると危惧している」と述べ、早急な対応を求めた。

  三木谷氏については「徹底的な規制緩和が基本。新経済促進に向け、環境を整え、ライドシェアを導入する、とハッキリと謳っている。政府内での検討を促し、どうしてもやるようにと政府に要請している。これに私たちは、どう対応するのか。(今夏の)参院選が終了するまで情勢をよく見て、政府の方針が出たなら、皆さんと対策を決めていきたい」と協力を求めた。

  富田会長は「三木谷氏は『(ライドシェア導入について)政府任せの観光立国実現に向け、特に重要な施策』としている。このようなことを言われると政府は弱い。これに則り、ライドシェアを実現させようという動きが活発になっている」とした上で、「常々言われていることでもあるが、白タク問題が出てきて、自民、公明のタクシー議連の先生、また国交省の幹部の皆さんから、『何だ、タクシー業界は白タクにやられてしまうのか』と言われないように、よいタクシーを提供しなければならない。このことは皆さんご存じだが、『実施は難しい。どうやるのか』という問題が出てきた。向こう(ライドシェア陣営)にやれて、私たちにできないということはない。しかし、私たちにできて、向こうにできないということは、かなりある。私たちがやれば、白タクに勝てると自信を持っている。しかし、何をすべきかを示していかないと、全国の皆さんは何をしてよいか分からない、という問題もある」と現状を分析。

  現状打開策として、「業界は何をなすべきか。全タク連で特別委員会を設置し、何とか、今のタクシーの活性化を徹底的にやろうと、委員会の狼煙を上げた。どのようにして、いつまでに立ち上げ、いつまでに終わらせるのか。内容はどうするのか、ということを皆さんに諮り、委員会を設置したい。結局、それが最大の防御になる。議員の先生がたも、国交省幹部も、特別委員会に大きく期待している」と述べ、特別委員会設置に理解と協力を求めた。

■義援金 送金先

【東京】全タク連は5月11日付で、傘下各協会あて文書で、協会で取りまとめて送金する義援金については24日までに全タク連が開設した銀行口座に振り込むよう協力を要請した。

  5月末以降に被災地協会に直接現地に渡す。振り込みの際は、熊本・大分など被災地協会の金額の割合を明記するよう求めている。また直接被災地協会へ送金する場合にも、そのことを報告するよう求めている。

  振り込みは、みずほ銀行・四谷支店(036) 普通預金口座1388739 口座名は「一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会見舞金口」シャ)ゼンコクハイヤー・タクシーレンゴウカイミマイキングチ――まで。

■特別委員会の性格とは?

【東京】富田会長が5月度正副会長会議で設置の意向を示した「特別委員会」は、次回6月度正副会長会議で提起し、異議がなければ正式に発足する見込みだ。

  現段階で分かっていることは、副会長の中から数人を選出し、「特別委員会」メンバーとすることと、白タク・ライドシェアに対抗可能なタクシー活性化がメーンということぐらい。

  また、当日の正副会長会議では、出席している副会長、専門委員長から、「委員会の性格や構成など具体的な内容について、事務局でまとめてほしい」「すでに設置されている坂本克己・日本タクシー会長が本部長を務める『タクシー事業適正化・活性化推進特別委員会』との違いは何か」など内容や既存組織との整合性に関する質問があった。

  現在の特別委員会は、主として政党で組織する議員連盟の対応がメーンとなっているが、新たな特別委員会では、富田会長の「ライドシェアにできて、タクシーにできないものはない」とする発言に見られるように、主に白タク・ライドシェアへの対応の具体的な道筋と、その工程管理になりそうだとの見方が出ている。

■鶴田課長「スケジュール感」促す

【東京】国交省の鶴田・旅客課長は5月11日の全タク連・正副会長会議で、昨年末公表した特定地域候補の交通圏・営業区域に触れ、指定に係わる地域協議会を開催してない地域には「指定に向け早急に開催」、「指定された地域は地域計画の策定を急ぎ、その後の事業者計画の申請、認可後の実行にスケジュール感を持って臨むよう」促した。

  昨年12月、国交省が通達した事務連絡に基づく発言で、約半年経過した時点で当初計画から遅れが認められるためと見られる。 事業者計画の策定と実行まで、指定日から概ね1年半かかるとすると、2年の指定期間の残存期間は僅か半年となり、効果への期待が薄れることは確実だ。業界が自ら早いめに実行に移すことに期待をかけた。

  5月11日現在、昨年末候補にあがった13交通圏・営業区域のうち、特定地域指定の合否に関する地域協議会が開かれていないのは、岡山市のみ。また静清交通圏、大津市域交通圏、高松交通圏、高知交通圏は否決。運輸審議会で審査中が宇都宮交通圏、(埼玉)県南中央交通圏、京葉交通圏、東葛交通圏、千葉交通圏、(東京)南多摩交通圏、富山交通圏。久留米市は5月に諮問される予定。