国家戦略特区法一部改正案が閣議決定
過疎地・交通空白地の観光客等 NPO等が半額で運送へ
自家用有償保険当て込み 保険会社が新商品開発


【東京】市町村、NPO法人による過疎地・交通空白地における観光客等に対する自家用有償旅客運送が国家戦略特区法の一部改正で可能になる。同法案は3月2日、自民党国土交通部会で了承され、3日11日に医療・観光・農業の一部改正案とともに閣議決定された。一方、保険業界では、東京海上日動火災保険(永野毅社長)がこの動きを当て込み、「自家用有償旅客運送」の利用拡大を受け、自家用有償旅客運送事業者向け自動車保険を開発し、3月7日から販売を始めた。

  3月9日開かれた全タク連第133回理事会冒頭で、富田昌孝会長は「今回ほど先の見えないことはない。業界が生き残れるかどうか。かなりライドシェアに侵されており、大きな課題を突き付けられた」と危機的状況の中、国家戦略特区法の一部改正で「何とか一呼吸を置くメドが立った。この後、また大きな問題が控えている」との認識を示し、「議員にお願いすれば終わるものではなく、最終的には業界がどうやって自立するかという問題だ」とした。

  富田会長は、①政治的陳情を強く行っていく②前面に立って利用者のために何をするのかをハッキリと打ち出す③全タク連でライドシェアとタクシーの70項目に及ぶ比較表を作成して配布。悪いところを直す④過疎地のある地方自治体と密な関係を持ち、ライドシェアに隙を与えないよう、地域住民や観光客の移動を助ける――などをやり遂げ、「利用者に喜ばれ、感謝される親切なタクシーを作り上げないと、最後に国民が応援してくれない。高齢者や身体が不自由な人が利用するときに、ちょっと親切にすることがひじょうに大事だ。周囲で人が見ているときに『ちょっと』親切にすると、とてもきれいに映る」として、「6、7月から年末にかけて行方が決まる。この間に生きるか死ぬか、懸命な努力をしてほしい」と呼びかけた。

  また富田会長は、「国家戦略特区法一部改正案に盛り込まれる過疎地等での観光客の移動手段確保策は、道運法にある自家用有償客運送の枠内に抑え込むことができた。ただ、自家用有償旅客運送実施にはタクシー業界との事前協議が必要となるが、協議が失敗した場合はどうなるのかという心配がある。その時には大臣がどのような舵取りをするのか」と疑問を呈した。

  京丹後問題に関連し、「今回は自家用有償客運送の枠内に収まったが、利用者とNPOをつなぐプラットフォームであるウーバーを排除することができなかった。ウーバーは至るところに群がっているので、いつ活躍を始めるか分からない。ウーバーは最初は無償で行うと言っているが、いろいろな方法で利用者と地方自治体の間に入り、利用者が慣れてくると、だんだんライドシェアの名前が前面に出てきて、『ライドシェアも悪くない』となる危険がある。そうなると防ぎきれない。ライドシェア問題のステップが一段上昇したようで、ひじょうに危ない」とした。