南砺市とウーバージャパンが協定締結
補助金400万 5月連休にタクシーで観光客対象の実証実験
全国タクアプリとウーバーがプレゼン実施


【富山】富山県南砺市とウーバー・ジャパン株式会社は2月26日、南砺市利賀村の利賀複合教育施設「アーパス」で協定締結式を行い、田中幹夫市長と高橋正巳ウーバー・ジャパン社長が協定書に署名した。国交省では、過疎地の観光客の足として特区に限り自家用車有償運送ができる法案の上程を目指しており、3月15日にも閣議決定が行われる見通しだが、同方式とは異なり特区申請を行わないまま協定を結んだ珍しいケースだ。

  過疎地における自家用車によるライドシェアだけでなく、ウーバーによるタクシー配車も行うとしている。田中市長は「過疎化、高齢化が進む地域にあって、新たな公共交通のあり方を見いだしていきたい」と話した。田中市長とウーバーとの出会いは、2014年9月に同市で開催された「公共交通ハッカソンin世界遺産五箇山」。地域課題をITの力で解決するCode for Nantoが主催したもので、ウーバー・ジャパンの高橋社長も参加していた。 両者間で具体的に構想について話が進められ、1年半後に形になった。

  市側はこれまで、市内6事業者と個別に説明をしてきており、すでに一巡しているとしているが、各社間に温度差があり、「全事業者に理解していただいているとは言い難い」ため、再度説明したいとしている。 市内に営業所のあるタクシー事業者は、チューリップ交通、福光タクシー、あい・あいタクシー、五箇山タクシー、となみ観光交通、城端タクシーの6社。タクシー合計は50両程度。3割をウーバーに割りあてる。各社の対応が注目される。

  市は3月補正予算案に実証実験事業として計400万円を計上した。内訳は表1の通りだ。

  全自交労連は逸早くこの問題に対応し、地元富山地連から齋藤光一・南砺市会議員を通して3月3日、南砺市地方創生推進課の柴雅人課長に「協定内容」を確認するため、いくつかの質問をしてもらった。それによると「観光客の移動にアプリ配車システムを活用する。タクシー配車では、アプリ配車システムは無償でタクシー会社に提供し、手数料等については南砺市が負担。実証実験でタクシー業界にメリットがあるという判断があれば本運行を目指す。実証実験は観光シーズン期間の4〜5月から実施したいが、タクシー事業者及びタクシー協会との合意がなければ実施しない。利賀村における自家用無償運送については、これからボランティア運転者の募集を行うが、それには富山県タクシー協会とタクシー事業者の理解が必要。土田英喜・富タ協会長と田中市長が面会した際、土田会長は、無償の自家用運送であっても問題があると指摘。タクシーで利賀村の公共交通空白解消にあたりたいとする考えを示した」――などと答えたとしている。

  また2月29日の本紙取材には南砺市の担当者は次のように答えた。市の構想は2段階に分けられている。 第一段階で、5月大型連休には現在、東京エムケイ、ヤマテタクシー、マルコータクシー(いずれも東京)などが運行しているタクシーによるウーバー配車の実証実験を先行させる。

  第二段階で、ウーバー配車システムによるタクシー配車から一定期間を経て、過疎地域・交通空白地とされる世界遺産・五箇山のある旧利賀村で、ボランティア市民ドライバーの自家用車を利用し、無償を前提とするライドシェアなどの実証実験を実施するため、調査研究を進めていく。同時に、タクシーでは市の援助の下、デマンド交通の実証実験を行うとしている。このデマンド交通にはウーバーの配車システムが使えないため、業界と市による独自システムを採用する。しかし、本事業が行われる時点では一旦フリーハンドに戻し、過疎地山間部で自家用車ライドシェア、居住地の多い平野部ではタクシーという住分けを継続するかどうかも含め再検討する。  市では、ウーバー・ジャパン側の強い要請があり、5月の大型連休頃には現在、東京エムケイなど3社で(地域を限定し、車両数も各社10〜20両程度に絞って)行っているようなウーバー配車システムを使ったタクシー配車(本運行ではタクシー運賃から10%などの手数料を差し引くウーバー・タクシーを導入するとの見方が強い)実証実験をスタートさせたい考えだ。

  これに伴い、3日は富タ協主催で全国タクシー配車アプリ説明会が行われた。また7日にはウーバー主催のアプリ説明会が行われ、富タ協と地元事業者が参加した。

  南砺市の面積は669平方kmと広大。人口は5万3千人余り (1月31日現在)。平野部と五箇山を中心とした山岳部で構成。世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」と演劇祭のある旧利賀村を擁する。


表1
〔表1〕
補正予算:過疎地域における高齢者や観光客の移動手段強化及び市内のタクシー会社の活性化を図るため、配車アプリ・シェアリングエコノミー実証実験事業を実施する。


公共交通費(3月議会補正予算)単位千円
実証実験事業
・車載器固定用品2000×15両30
・PRステッカー100
・チラシ印刷代300
委託料
・システム利用、データ収集、分析業務300
・Webプロモーション業務550
利用料及び賃貸料
・配車アプリ利用分手数料
  @60000×15両×3カ月2700
・ドライバー説明会会場使用料20
合 計4000