「極めて重大」――川本恵三・京タ協郡部委員長
丹後町の公共交通空白地有償運送事業承認に強い危機感


【京都】京都府タクシー協会で郡部委員長を務める川本恵三・京都タクシー社長は2月3日、京丹後市丹後町で3月からウーバー・ジャパンと地元でデマンドバスの運行主体となっているNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が実施するとしている登録運転者が保有する自家用車による公共交通空白地有償運送事業の実証実験に関する本紙の取材に、「極めて重大な問題という意識を、より一層持った」と語った。その上で、これが本事業となった場合、成功事例ということで都市部に広がるのでは、という懸念が大きい」と述べた。

  川本氏は2月5日、京丹後市に公共交通空白地有償運送事業の詳細を確認。その後、9日に東京都千代田区の自動車会館で開かれる全タク連・地域交通会議で報告する。1月中旬、川本氏が京丹後市の担当者に昨年9月に申請したウーバーなどによるライドシェア国家戦略特区について「その後、変化はないか」と聞いたところ、「変化は全くない」としていた。地域公共交通会議でウーバーが関わる自家用有償運送が認められたのは、その矢先だっただけに、落胆は大きい。

  一方、安居早苗・京都府タクシー協会会長は3日、本紙の取材に「次の理事会に諮るが、現行法に準拠したものなので、今後問題点があれば指摘するが、範囲を広げる動きがない限り、推移を見守る」考えを示した。その上で、「国家戦略特区は取り下げないとしているようだが、本当にライドシェアに突き進むのか。今回の公共交通空白地有償運送事業が成功すれば、ライドシェアを導入する必要はなくなるのではないか」と疑問を呈した。

  今回の実証実験計画そのものには、「地元タクシー事業者に悪影響を及ぼすようなら、そこを改めるべきだ。モデルを見る限り、直接ウーバーとマッチングするのではないので、道路運送法等法令に準拠したものなのだろうが、NPO法人の名を借りてやることに問題がある。また過疎地であることが自家用有償運送の根拠になっていることは、安易に運行範囲を広げられる」などと問題点を指摘。「本当は昨年4月の法改正時に反対しておく必要があった」と悔やんだ。

  また、NPO法人を運行主体としており、事故等があったときには責任を負う体制ができたように見えるが、事実上のプラットフォーム事業者はウーバー・ジャパンであり、今後ウーバーとNPO法人が契約するときにはウーバー側が主体となる契約内容を甘受せざるを得なくなる可能性が高い。そのため、形式上はNPO法人がリードするようになっていても、実態はウーバーが主導権を握れるような仕組みが内包されている可能性もあり、最後にはなし崩し的に「母屋を取られることにならないか」との本紙記者の懸念に、安居会長は「その点については、2月10日の正副会長会議で指摘したい」と述べた。

  兵庫県タクシー協会のような反対署名活動は、京都府タクシー協会は行わないのかとの質問に、安居会長は「現段階では実証実験を見守ろうとしている。ライドシェア国家戦略特区については単独では反対署名は行わないが、全タク連と連携するなど運動の輪が広がるなら、京都も含めた署名内容にあらためる必要があるだろう」として、自家用有償運送の実証実験を容認する考えを表明した。