第54回 全国ハイヤー・タクシー事業者大会
富田会長が「預かり休車制度」の創設を提言
岡山大会 成功裡に閉幕。次回開催は金沢で

(2014年11月10日付・ファクス・メールサービス)

【岡山】(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会は11月7日、岡山県岡山市の「岡山プラザホテル」で、第102回臨時総会・第128回理事会・第54回全国ハイヤー・タクシー事業者大会を開いた。

  富田昌孝会長は事業者大会の冒頭・所信表明で、「需要拡大を迎えるまでの業界の懸念として一つには人で不足による実働率低下対策としての準特定地域における預かり休車制度の創設に取り組みたい」として、「休車」という言葉を使ったのは業界にある「減車」に対する根強いアレルギーを避けたいのと、「預かり」という言葉を使ったのは随時復活可能という意味だと説明し、「現在、業界で活用されている預かり減車制度と大きく変わらないが、原則として現行法令の下、地域標準減休車を実施した事業者のみに資格を与え、実施済みの減休車を超えない範囲で預かり休車ができる、という意味合いがある」とした。これに対し、労働団体からは「改正タクシー特措法の趣旨でもある労働条件向上の視点に欠けるのでは」と早くも疑問の声があがっている。

  富田会長は預かり休車制度の考え方について東京の例を取り、「(基準値)100両の事業者が20%減車(20両減休車)を実施済みであれば、さらに20両までの範囲で任意の車両を預かり休車できる。今日預けた車両を都合次第で明日復活することができるという内容」とブチ上げ、「東京で1両を1年維持するのに必要な150万円程度の経費削減に役立てたい」と意気込みを示した。また燃料高騰対策として「運賃改定」「サーチャージ」が不可避との考えを示し、初乗り短縮等東京で進められている運賃制度改革を念頭におきながら、「燃料費高騰対策とその他運賃制度改革を同時に実施するか否かは状況を的確に把握し、地域ごとに判断するのがよい」との方向性を示した。

  事業者大会では、次回・第55回事業者大会開催は平成27年11月11日、石川県金沢市の「ANAクラウンプラザホテル金沢」で開催することを了承。全タク連における長年の功労を讃え、12人の感謝状を贈呈した。 燃料価格高騰への取り組みが特別決議され、タクシー事業の適正化・活性化、財政・税制上の支援強化、交通事故の抑止と飲酒・薬物使用運転根絶、労働条件の改善・労働力の確保等、地球温暖化防止対策の実施、ケア輸送の推進、地域交通の推進など7点について決議された。

  富田会長は、冒頭の所信表明で、新潟カルテル問題に触れ、「10月27日までに公取委から審決案が業界側に示された。誠に遺憾ながら、審決案では事業者側の請求は顧みられることなく、棄却されることとなったが、新潟業界がいかなる選択をしようと全タク連は同業界に対し、強い連帯と支援をする」と語気を強めた。

  新潟運賃カルテル被疑事件への対応、危険ドラッグ問題への対処、事業用自動車総合安全プラン2009策定から5年経過し中間年を迎えさらなる事故防止への取り組み、公定幅下限割れ運賃に関する大阪・福岡の運賃変更命令差し止めに対する国側の即時抗告の行方、橋下・大阪市長によるタクシー自由化・国家戦略特区問題、円安傾向の中での燃料費高騰・高止まりへの対応、11月施行の改正地域公共交通活性化再生法への取り組み、来年10月実施が見込まれる消費税再増税、運賃制度改革・2020年開催の東京五輪への対応、特定地域指定問題――などを挙げ「これら問題に対処しても(すぐには好転せず)、景気が回復し、国内経済が活況を取り戻すことが大前提」と指摘。

  特定地域指定について「11月20日で改正タクシー特措法の成立から丸1年が経過するが、現時点では指定基準がどのように決着するか見通しが立っていない。このような事態に立ち入ったことについて、皆さんにお詫び申し上げる」とし、6月の規制改革会議の横ヤリや橋下市長の特区構想など当初予想だにしなかった事態が発生していることなど要因を挙げながらこの間の経過を報告。その上で、「全国事業者の64%が赤字経営であり、運転者の賃金が全産業平均から200万円以上(年間)の格差がある現状こそ、(特定地域指定が)特に必要と認めるとき以外の何なのか」と語気を強め、規制改革会議の「特定地域は全国車両数の半数以下」とする主張に真っ向から反論した。

  高橋良樹・新潟市ハイヤー・タクシー協会会長は「皆さんからたいへんなご支援をいただいた」と謝意を表明した上で、この間の経緯を説明した。高橋氏は「10月28日、公取委から(請求の全面棄却の)審決案が示された。立ち入り検査から3年9カ月が経過した。皆さんのご支援でようやくここまで辿り着いた。しかし、これは裁判ではなく、審判と言い、公取委の中で再調査するもので、ほとんど結果は同じになる。審決案は想定内で、『やはり』という気持ちだ」と審判制度に疑問を呈した。

  また「適正化・公定幅運賃・労働条件の改善は国の政策だったと思うが、もう一つの国の最高位にある組織の人が『運賃について話すのはまかりならん』と課徴金を支払い、新聞広告を出しなさい、という結論になっている。今度は審決が下り、『黒』となると全員で2億3千万円余り。これに14・5%の金利を併せて支払わなければならない。そんなことはできないので、経営は苦しいが何とか捻出して課徴金を納めて東京高等裁判所に訴えるしかない。11日が異議申し立て期限。申し立てると5人の公取委員に面談する。そこで大岡裁きが受けられるかどうかは分からない。新潟の問題ではあるが、もし私がここで諦めたら、全国の皆さんにご迷惑をかけている上に、またいろいろな形で迷惑をかけることになるのではないか。タクシー諸問題はいまだ解決されていない」と述べ、「覚悟を決めて頑張るので、皆さんのご理解をお願いしたい」と訴えた。富田会長は引き続き新潟業界へ支援するとし、了承された。

  黒土始・全タク連相談役(第一交通産業会長)は、「タクシー業界が安定的な経営ができるようになったのは、富田会長を中心に多くの人が尽力されたためで、敬意を表する」とした上で、自らがタクシー事業を始めた頃の状況を振り返り、「当時からタクシーを公共交通機関に位置付けることが大きな目標だった。タクシーが規制緩和され、ようやく新法が成立し、規制されるようになった。これもすべて、協会のトップである富田会長のたゆまぬ努力のおかげだ」とあらためて謝意を表明し、「(法で)地方が認められることにより、むしろ安定的な経営ができる。タクシー業界は滅びることはない」との認識を示した。

  また「経済と政治はクルマの両輪。タクシー議員連盟があるが、皆がお金を負担して、政治家に適正な方法で提供しないと『タクシー業界は言いたいことは言うが、お金を出してくれない』と言われることになりかねない。今回の法律ができた背景には議員連盟の力があったものと思う。もう少し、皆さんにお金を集めていただき、できれば各県に政治連盟の支所をつくり、利用者利便になくてはならない産業として、もっとPRするためにも政治の力が必要だ」と強調し、政治連盟の強化を訴えた。