新高速バス ウィラーグループが事故
東名阪道でダンプに追突し、下の畑に転落
安全システム作動していたか疑問の声

(2015年7月21日付・第338号)

【三重】一般紙の報道によると、7月14日午前3時15分ごろ、三重県四日市市堂ケ山町の東名阪道下り線で、27人が乗った大型高速バスが大型ダンプカーに追突、2両ともガードレールを突き破って約2メートル下の茶畑に転落、横転した。

  三重県警によると、バスの男性運転手(50)が左足を骨折する重傷、乗客のうち女性1人(38)がろっ骨骨折、足打撲傷で1〜2週間の入院。他の23人は搬送先の病院で治療後、帰宅もしくは目的地移動。1人は事故現場から目的地に移動したとのこと。乗員2名のうち、事故当時運転していなかったもう1人の運転者は病院で治療後に職務復帰した。

  県警高速隊によると、現場は片側2車線で、バスは走行車線の前方を走っていたダンプカーに追突したという。

  バスは、高速バス会社「ウィラーエクスプレス関東」の委託を受けた「ロウズ観光」(佐藤雅彦社長、岡山県倉敷市)が運行。事故前日の13日午後8時に東京ディズニーランド(千葉県浦安市)を出発し、岡山市を経て倉敷市に向かう途中だった。

  ロウズ観光によると、バスには運転手2人が乗車しており、静岡県の掛川パーキングエリアで交代したという。事故発生時にバスを運転していた運転手は社歴7年目で、5月の健康診断では運行に問題ないと判断されていた。同社の板野英樹課長は「今月3日に休みをとって以来、11日連続勤務中だった。乗務員を募集しているが、不足している」と話した。

  一方、国土交通省は事故のあった14日午後、ウィラーエクスプレス関東東京営業所(東京都江戸川区)とロウズ観光に職員を派遣し、立ち入り監査を行った。運転手の勤務状況や、出発前に健康状態などを確認するために行う点呼の記録簿などを確認し、安全運行のための体制に不備がなかったかを調べている。

  また、バスやトラック、タクシーの重大事故を調べる同省の「事業用自動車事故調査委員会」も、原因調査と再発防止策検討のため調査を開始。15日に調査員5人を事故現場などに派遣した。

  業界では近年、バス運転手の不足が蔓延している。昨年、同省が全国の33社を対象に行った調査に対し、7割が人手不足のため仕事を請け負えなかったり、増便を断念したりした経験があると回答した。同省は人材の確保、育成に向けた方策を話し合う検討会を発足させ、昨年7月に労働条件の改善や女性でも働きやすい職場づくりを推奨する提言をまとめた。今年度中に、若者や女性が働きやすい職場づくりに取り組んだ会社の事例などを集めたガイドラインを策定するとしている。

  グループ会社のサイトによると、東京ディズニーランド―岡山・倉敷の最安値は片道5120円(企画により、これよりも安値も用意)。

  ウィラーグループはかつてツアーバスを企画運行する事業者だったが、関越道で起きたツアーバス事故を受け、2013年8月に発足した新高速乗合バス制度に合流した大手。全国高速バスのドル箱路線を運行バスの形態(4人掛けから3席フルリクライニングまで)低価格から通常価格までいろいろな企画をインターネット経由で紹介し、顧客を取り込み成長してきた。

  ロウズ観光は平成3年に設立された会社で、ISO9001(品質)・14001(環境)を同時認証取得し、(公社)日本バス協会の貸切バス安全性評価認定委員会の認定を受けるなど安全には万全を心掛けていたと見られる。

  ウィラーグループの運転者をしていたというA氏によると、これだけの対策を行っている会社が自動ブレーキアシストシステム、オートドライブシステムなどのほか、車間距離維持システムや車線維持システムと融合したクルーズコントロールシステムを装着しない大型バスで長距離輸送を繰り返していたとは考えられず、ウィラーグループなどの「上からの指示」でクルーズコントロールシステムのスイッチを切っていた可能性を指摘する。

  A氏は「システムが作動するとアラームが鳴り、寝ているお客様を覚ますことにつながるとして、実際に私もスイッチを切るよう指示を受けたことがある。規定の範囲とは言え、11日連続勤務というと相当な疲れがたまっており、運転上の緊張は気をつけていても緩むことにつながる。それを防止するためのシステムだが、作動していれば少なくとも前方の車両への追突は避けられたはずだ」と指摘している。国土交通省は真の事故原因の究明を急ぎ、公表することが重要だ。