交通労連関西総支部ハイタク部会2015労使セミナー
安部誠治関西大学社会安全学部教授が講演
活性化 自治体との連携が大事になる

(2015年7月11日付・第337号)

【大阪】大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会会長で関西大学社会安全学部教授の安部誠治氏は7月10日、交通労連関西地方総支部ハイタク部会主催の2015労使セミナ―で、「これからの大阪のタクシー事業の課題」をテーマに1時間余り講演した。

  安部氏は「タクシー事業は曲がり角にさしかかっている。タクシー事業が日本で始まって以来、大きな転機が訪れている。そのことについて海外の状況を話しながら考えてみたい」と述べ、特定地域指定に同意した6月18日の大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会や新経済連盟の白タク・ライドシェアを含めたシェアリングエコノミー提案で業界を騒然とさせている問題等を織り交ぜながら講演した。

  その上で、「何故、特定地域になるかというと、指定された3年間頑張り、(業界挙げて数値を回復する努力をして)特定地域から脱出することが最大の目的」との考えを示した。特定地域協議会に関係する発言の概要はつぎの通り。

  安部教授は仙台交通圏タクシー準特定地域協議会会長も務めていることに絡み「仙台交通圏は3月17日に開催し、全会一致で特定指定に同意を決めた。運輸審議会には最初のグループとして諮問され、答申が出て、去る6月1日から向こう3年の期限で特定地域になった。大阪と違い、仙台の構成員はタクシー労使全体で各1、宮城県から1人、仙台市の交通関係の部局と市民生活の部局から各1人、消費者団体や地元の商工会議所、労基、県警本部。仙台はかつて、緊急調整区域に指定された経緯があり、全国では台数の仙台、運賃の大阪と呼ばれてきたが、そのことが仙台の業界関係者以外の人にかなり理解されている。仙台の地域協議会では、特定地域に指定され、その枠組みの下で減車体制を固めることに対し、ほぼ異論は出ず、協会内部の賛成も9割を超えた。8月9日に特定地域協議会第1回会合を行うことになっている。その9日は会則(要綱)や構成員をどうするか、という議論になると思う。10月には第2回特定地域協議会を開き、特定事業計画と活性化計画を決めていきたい。一方、大阪は1年前の最初の準特定地域協議会で、私を会長にするか否かでひと悶着あったが、仙台は真面目に論議して、すぐに決まる状況だ」とした。

  一方、大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会会長として「4月27日に特定地域指定を論議する準特定地域協議会が開かれたが、議決方法や業界の意思決定の集約のあり方に疑義が出されたため、一旦継続審議とし、6月18日に再開し、特定指定に同意することを決めた」と振り返り、「これら2つの地域の準特定地域協議会を振り返り、議長を務めた者の立場として、ひじょうに違和感を感じた。大阪で継続審議となった2回目の会合で、弁護士が20人ぐらい来られ、手続き論から始まり、実際の中身よりも、その辺のやりとりが続いた。特定地域指定されるにあたり、本当の利害関係者の会合なのか、という感じがした。もちろん、弁護士は依頼人の利害を受け、代弁することを職業とする人なので、その意味では、賛成・反対両派の依頼人の立場を考えた発言と言えるが、いかがなものか、という感じがした。ひじょうに大事なことを決めるのだが、事業者も組合も1票しかないので、このようなことで本当にいいのか、という感じがした」との感想を述べた。

  その上で、「特定地域になると、独占禁止法の適用除外を受ける。そうすると公取委の関係で、適用除外を受けるだけの会則上、こうしておかないと適用除外にならないということがあり、そちらの方が優先され、第三者が出入り自由ということにしたため、あのようなことになったのではないか」との見方を示し、「全国的にみても仙台でも、国土交通省が示した要綱モデルに沿って行っても、そう問題はなかったので、大阪だけがあのような形になった。やはり、大阪の事情を考えると、意思決定や構成員の資格をもう少し見直す必要がある」との考えを示した。

  また指定の見通しについて「運輸審議会に諮問されたところで、まだ大阪が特定地域に指定されるとは限らないが、肝心要の大阪準特定地域協議会で同意しているので、運輸審議会では余程のことがないと覆すことができない。大阪は9月初めか10月には特定地域に指定される」と述べ、「ただ、特定地域の要綱はかなりハードルが高くなっているので、その辺をどのように考えていくか、ということもあり、課題は山積している。それに加え、実際に特定地域計画や活性化計画を、どのようにつくっていくか、ひじょうに悩ましく、頭の痛い問題が残っている」と指定後の課題に言及した。

  他の準特定地域について「大阪では河北、河南A・B、北摂など周辺の準特定地域協議会がある。しかし、準特定地域指定以降、正式な会議が開かれていないので、9月ごろに開催する必要があると考えている。それが少し遅れている」とした。

  安部氏は「規制緩和以降の制度は3制度あると考えている。特措法があろうが、なかろうが、タクシー業界を規制する根本は道路運送法。同法で全国637の交通圏・営業エリアすべてが適用されているが、タクシー特措法で適用が一部変則的に期限付きで制限される地域が出てきて、これが準特定地域と特定地域」との持論を展開し、「いずれも原則3年間の指定ということになっており、継続が1回あるので、継続されると最長6年指定されることになる。この間は道運法の特例措置を受ける。準特定地域は現時点では134地域で、それとは別に準特定地域から特定地域になった、あるいはなるところは19地域。そうすると、全国484地域は道運法が適用される地域。ここは需給調整がなく、申請による運賃認可制度が取られている。これらは、ほとんどローカル地域なので、タクシー車両数が大きく増えているわけではない。2、3年前、過去10年のタクシー車両数がどう増えたか、全国47都道府県で調べたところ、10件で減っていた。そこでは大きな需給調整の必要がないと考えられるので、問題は大都市を中心とした150程度の地域が車両が増え、需給のアンバランスが起こっている地域なので、ここをどうするか」と問題提起。

  その上で、「特定地域では、強制力のある供給削減措置が採られ、独禁法が適用除外されるので、慎重にするため要綱では3分の2の賛成、自治体はすべて賛成した場合などの枠組みが出来ている。運賃は公定幅のままなので問題ない。準特定地域では新規参入や増車ができないわけでななく、特定地域になって初めて、新規参入と増車が禁止となる」と整理した。

  自治体との連携には関係改善が必要として、「地域を活性化しようとすると、自治体との連携がひじょうに重要になるが、地域協議会には今のところ、3自治体しか加わっていない。大阪市は特区構想などがあり、脱退した。かといって自治体はタクシーにまったく関心がないか、というとそうではない。先日の準特定地域協議会の特定地域指定に関する投票で、大阪府は反対したが、活性化については参加する意向だ。どの自治体もそのように言っている。ただ、協議会の限られた2、3時間で、労使が業界内で賛成・反対の議論をやってしまうと、自治体は引いてしまうので、工夫が必要だ。適正化と活性化を分けて、分科会のようなものをつくり、自治体は活性化に出てきて議論してもらう。適正化は業界で論議してもらい、結果を全体の場で公表するというようなことをした方がいいのではないか。そうしないと、大阪では自治体との関係で、タクシーの問題を位置付けをうまく保つことができないのではないか」と提案した。