富田会長5選 川鍋 高橋 両氏が副会長
全タク連第103回通常総会
白タク行為を断固として阻止する緊急決議

(2015年7月1日付・第336号)

【東京】(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会は6月23日、東京都千代田区の「経団連会館」で、第103回通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選で、富田昌孝会長(日の丸交通会長)を再任、また副会長には川野繁氏(東京・飛鳥交通グループ代表)、高橋良樹氏(新潟・都タクシー社長)が新たに選任された。富田会長は4期目。通常総会の最後、「国民の安全を脅かし、地域公共交通の存続を危うくする白タク行為を断固として阻止する緊急決議案」を満場拍手で採択した。

緊急決議文

  近年、ネット社会を迎え、タクシー業界がスマホ配車等への取り組みを、一丸となって進めている中、平成27年2月初旬、福岡市でウーバーなる外資系企業がライドシェア実験と称した白タク行為を開始したが、道路運送法違反との国交省の指導を受け、1カ月後に実験を中止したことは記憶に新しい。

  さらに最近では、楽天の三木谷浩史・会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟から、シェアリング・エコノミーの成長を促す法的環境の整備という名目の下、白タク行為を合法化すべく、道路運送法の改正等について、自民党・規制改革推進委員会及び経済好循環実現委員会対し、また政府・規制改革会議、国家戦略特区諮問会議等に対し、要望・提案をしている。

  この要望・提案は、国家の法令を遵守し、国民への安心・安全な旅客輸送サービスを提供している公共交通機関たるタクシー事業の根幹を根底から揺るがすとともに、与野党共同提案の議員立法により圧倒的多数の賛成の下、成立した改正タクシー特措法の意義を、著しく損なうものであり、断じて容認できない。業界一致団結して、このような動きを全力で阻止することをここに宣言する。

  通常総会冒頭あいさつで、、富田会長は、最近のタクシー産業を取り巻く情勢について「日本のタクシーは道路運送法制定以降70年、始まって以来の大きな危機が訪れている」と非常事態宣言をした。その上で、シェアリング・エコノミーの台頭に伴う白タク解禁の動きに対し、「私たちタクシー事業者は、政府の失策の被害者になるのは、2002年のタクシー規制緩和だけで十分だ。これ以上の失策を重ねられることは、真っ平御免と声を大にして言いたい」と語気を強め、「緊急決議案」への賛同を求めた。

  富田会長は通常総会の冒頭の所信表明で、最重要課題に「白タク行為を合法化しようという動きが顕在化した」ことへの対応を挙げた。概要は次の通り。

  米国ウーバー社のライバル会社であるリフト社に対し、楽天が3月に3億ドル(約365億円)出資。

  その楽天の三木谷浩史・会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟が主催する新経済サミット2015に出席するためジョン・ジマー・リフト社共同創業者兼社長が来日、日本進出の意向を表明。

  新経済連盟が自民・規制改革推進委員会や経済好循環実現委員会、政府・規制改革会議やIT総合戦略本部に対し、シェリング・エコノミーの成長を促す法的環境整備を求めるとの大義名分の下、「道路運送法改正による白タク合法化を実現するよう要望している」とした。

  その上で、「これら制度改正により、全国一律の白タク合法化運動のみならず、国家戦略特区制度を活用し、白タク解禁を求める要望・提案を出すなど、一点突破を可能とするような周到な準備を展開しつつある」などとした。

  さらに、三木谷氏は政府の産業競争力会議(安倍総理、菅官房長官、竹中平蔵氏など)のメンバーの1人で、「この構図は小泉政権当時、規制改革会議の議長にオリックスの宮内会長が就任し、規制緩和政策をリードしたことに似ている」とした。

  また「安倍政権の姿勢、三木谷氏政治力・資金力、世界経済の潮流から、シェアリング・エコノミーが政府の成長戦略の柱に位置付けられるのは避け難い情勢」としながらも、「シュアリング・エコノミーを完全に否定するものではないが、失うものが確実にあることを、政府・与野党幹部にあらためて認識いただくよう、働きかける必要がある」と、「マイカーの白タク化容認」に特化した反対要請を展開するよう呼びかけた。

  「緊急決議文案」の読み上げは、川鍋一朗副会長(東京・日本交通社長)が行った。読み上げの前、川鍋氏は「お客様に、ひじょうに安い運賃で輸送サービスを提供するという(しかし、我われの努力が足りないのかもしれないが)、単純明快過ぎる美名のもと、我われが長年にわたり一生懸命守ってきた安心・安全に対する努力を一気に突き崩してしまうかもしれないことに対し、我われは許すことができない」と語気を強めながら、次のように訴えた。

  「『ライドシェアなんて必要ない。十分、タクシーで間に合っている』という環境を、我われ自身が作り出す、というのが最大の正攻法と考える。

  ウーバーやリフトが盛んになっている世界の各地域を見ると、一つの特徴がある。それは、その地域のタクシー業界が、あまりキチンとタクシー事業をやっていない、ということだ。車両数が少ない、呼んでも来ない、来ても怖いーータクシー業界に、さまざまな足りないところがあるから、こうした新しい乗り物が提案されることになる。

  我われとしては、付け入られるスキがある。したがって、我われはこの緊急決議を行うとともに、我われ自身も、『これでいいのか』と考え、変えていかないと、決議に説得力がない。

  皆さんがこの会場で、『そうだ、そうだ!』と言って帰ったものの、地域のタクシーが昨年、一昨年と何も変わらなかったら、決議した意味がない。我われは、せっかく良いことをやっているのだから、まずそれをアピールすべきだ。声に出し、政治家に伝える。国交省に伝える、ということをやらなければならない。相手は一般市民、一般の新聞だ。彼らがどう捉えるか、ということを唯一、問題にしなければならない。

  私も含め、一人ひとり全員が富田会長や幹部任せにならず、地元議員に分かりやすい資料を持って説明する。例えば、『白タクやるなら、ちょっと待ってくれ! 空いている駐車場で賃貸駐車場ができるようにしてほしい』と訴える。それを必死でやる。そして、我われ自身が変わるべきだ」