第4回大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会
4月27日会合の継続審議は全員投票で決着
事業者の7割 全構成員の65%が賛成

(2015年6月21日付・第335号)

【大阪】第4回大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会(会長=安部誠治・関西大学社会安全学部教授)が6月18日、大阪市中央区の「難波御堂筋ホール」で開かれた。4月27日に開かれた第3回協議会で結論が出なかった特定地域指定に限り継続審議を行う協議会だが、新たに出席を希望する構成員を募ったため、弁護士などが前回よりも増えた一方、自治体では吹田市が外れ、大阪府、堺市、八尾市となった。

  構成員の出席者は当日午後2時現在、163人出席、委任状1699人、欠席12人で協議会が成立したことが報告された。安部会長は特定地域指定後の構想として、「適正化は労使に係る議論なので、自治会に理解してもらうのは難しい。活性化の議論は自治体に集まってもらい、業界からも出てもらい、時間をかけて論議していきたい」と分科会を設ける構想を明らかにした。

  同意の賛否はすべて投票で行われ、事業者の結果は、構成員保有車両数合計1万4766両、うち法人1万3163両、同意8804両、非同意4041両、欠席・白票が308両、個人1603両、うち同意1603両。合計同意1万407両、非同意4041両、欠席・白票が308両。賛成率70・479%。労組の同意62票、非同意7票、棄権1で全体として同意。

  自治体、利用者、学識経験者などその他構成員の同意票は22、非同意票11、白票1票で過半数の同意を得た。最後に安部会長が賛成を表明した。

  安部会長は冒頭、「前回協議会では活性化と特定地域の指定を受けるかどうかの論議に時間をかけて行い、議決に入るところまで進んだが、第一条件であるタクシー事業者の意向が大事で、投票を行うべきという意見があった。そのため議決を見合わせ、本日再度開催することになった。議論の継続性の意味から、構成員を4月27日のメンバーに限って議論したらどうかと提案したが、構成員から新たな参加を認めるべきという意見があったので、開催を告示して構成員を募集した結果、ほとんどが弁護士だが、新たに20人が構成員となった。新しいメンバーが前回の議論を知らないといけないので、本協議会開催1時間前に前回の内容を議事録にまとめているので、これに沿って説明した。それに続いて第4回の準特定地域協議会を開催する」と出席者に協力を求めた。

  当日は、近畿運輸局から前回協議会で要望があった年代別タクシー運転者年収比較表と事業用自動車の交通事故の傾向分析をした資料が示され、質疑応答が行われた。

  続いて最初に新たな構成員と前回発言しなかった構成員を中心に意見を募った。発言の要約はつぎの通り。

  ▽阿部泰隆・兵庫県弁護士協会所属弁護士は7点の反対意見を述べ、「増車すべきか減車すべきかは消費者サイドで判断すべきだが、消費者は(構成員に)少ない。そうすると失礼ながら泥棒に鍵を預けるのと同じ」「消費者サイドから見れば、雨でも風でも待たずに乗れるのが肝心。さんざん待たされていて、それで供給過剰とは言えない」などとした。

  ▽10年前、低額運賃取り消し訴訟を提起した労組の代理人として出席した弁護士は「今の大阪の現状を考えると、特定地域に指定していただき、その中で3年、早ければ2年で解除されるが、それについて議論する状況だと思う」「タクシーは減少したが、ニーズも減少している。僅かに日車営収が上向いているが、思ったほどの効果は出ていない」「価格を下げたら、限られたパイの中で変動、ドタバタが起きる。それがダメだということで規制強化へ向かった」「まずは特定地域指定をいただき、その中で議論すればいい。特定地域イコール減車ではない。特定地域計画を考え、その中で議論する。そこで大阪市域が供給過剰でなければ解除される。どうしてこれがダメなのか、私には理解できない」と述べた。

  ▽濱和哲・大阪弁護士会所属弁護士は「特定地域適合条件の一つに実働実車率があるが、実車率は平成13年と変わらないが、実働率が下がっているから適合したのだろう。そこに味噌があると思う。平成13年の数値と敢えて比較する意味があるのか」と疑問を呈した。

  ▽坂本篤紀・日本城タクシー社長は「一般メディアの人にぜひとも聞いてほしい。一般紙は『規制を強化して既得権を守る』と毎回同じ記事が出る。春節でも記事が変わったように、そろそろ潮目が変わるときだ。バスでいちばんの成功例は、安心・安全回復プランで、大きな事故が不幸にして起こり、やり直した結果、今は4千万円〜5千万円のバスを1年待ちで注文している。自動ブレーキや運転者の居眠りを監視するカメラも付いている。料金は確かに統一したものに上がってしまい、利用者は半減せずに3分の2いる。やはり利用者は安全を求めるのであって、タクシーではなぜそれができないのか、という質問を協会でも行った。事故が起きる前にやっておかなければならない。不幸にして轢き逃げということだって起きる。なぜ起きるのかというと、原発と一緒で、事故は起きるものだという教育をしていないから、そのような結果になる。せっかくの議論の場なのに、法律論ではなしに、一般の人に分かるように規制がなぜ大事なのかということを伝えられるようにしてほしい。あくまでも、ここは協議会なのだから、誰のために何の協議をしているのか、再度弁護士の先生も消費者にその法律論が受け入れられるのか、タクシー事業者をドロボー呼ばわりしたりするのが受け入れらるのかどうか。事故が起きないようにするための論議をしてほしい」と要望した。▽庭和田裕之・自交総連大阪地連書記長は「地域の問題をタクシー事業者1社がすべて網羅することはできない。この問題を地方自治体を交えて論議しなければならない。特定地域に指定された中で、そういう問題をどうするのか、しっかりと話すべきだ」と述べた。

  ▽元氏成保・大阪弁護士会所属弁護士は「特定地域指定適合基準の6項目は利用者の視点が欠けている」と批判し、慎重に考えるよう促した。

  ▽山下侑士・大阪弁護士会所属弁護士は「準特定地域の不合理が明らかにされていない中、果たして特定地域にすべきか否か、再度振り返って考えたい。裁判所の待ったがかかった状態で進めるべきではない」とした。

  ▽青木義明・大阪MK社長は「そのような問題は個々の企業が努力してやっていくべき。規制強化をしていけば、当社の運転者も喜ぶ。公務員になってもらい、需給バランスを常に合わせ、公務員運転者を増減させる。本当に特定地域に指定されたら、若い運転者が来るのかと考えてほしい」「改正特措法は内閣法制局を通らず、議員立法で成立した。どちらにしても納得しない事業者は行政訴訟になっていくと思う」とした。

  ▽小川敬二・交通労連関西地方総支部ハイタク部会長は「この法律は1社が良ければいいというのではなく、業界全体の底上げを求めるものだ」と主張した。

  ▽松本吉朗・八尾市建築都市部長は「先に運賃が決まっているというのは理解できない部分。運賃が司法に持ち込まれている状況なら、サービスと価格は連動するので、その決着がつくまで特定地域にすべきか。活性化議論ありきで価格に進むというのが順序ではないのか」と指摘した。

  構成員として出席していた熊和子・元毎日放送ラジオ局長は特定地域指定の同意が確定し、協議会閉会間際に手を挙げて発言を求め、「本日、開票に立ち合いながら、矛盾を感じた。これだけたくさんのタクシーに係る経営者、労働者の皆さんが全体で僅か1票で、我われが1人で1票というのは、余りにも重みにおいて均衡を欠いていると思わざるを得ない。今後皆さんでいろいろな協議をされていくと思うが、もちろん私どもも持っている知識・経験等をこの会に反映させたいと思っている。しかし、このような重大な問題を、このような投票のあり様で決めていいのかという点で、たいへん忸怩たるものがあった。今後、事務局で構成要因のあり方とか、投票のあり方を再度見直していただき、皆さんの声がもっと反映できるような形で進めてほしい」と要望した。