近運局部長 着任2カ月
全支局まわり現場と意見交換へ
監査の端緒 本田 自動車監査指導部長

(2015年6月11日付・第334号)

【近畿】4月1日付の人事異動で近畿運輸局の自動車監査指導部長に就任した本田邦彦氏に抱負をうかがった。本田氏は着任前、NASVA大阪主管支所長を務め、その前には貨物、監査を担当している。実績を買われ、数年間本省に出向した経験を持つ異色組だ。今、裁判の判決等で「裁量権の逸脱」という言葉を耳にする。本田部長はこれから何をしようとしているのか。お話を伺った。

行くべきところへ行けるように

  本田  先日の記者会見で抱負を述べたが、それを具体化するため6〜7月初め、すべての支局へ巡視に行き、現場と意見交換していく。

  従来のように見て回ってご苦労さん、というわけではなく、各支局の担当者と具体的に議論したい。今抱えている問題は、どう見ても監査端緒が増えているということだ。これをどう捌くか。そこは今までのようなやり方でいく限り、監査端緒は増えて残っていくだろう。

  これは対外的に見ても問題だし、だからといってマンパワーは増えないという状況から、どう精査するのか。

  一方、監査に入って持ってきた書類の問題もある。この2つの問題を切り離すことはできない。処分事案だけを優先するという考えになっていったら、押し寄せる波は溜まっていう一方になる。

  そこをどうこなすか、ということを考えてやっていかないと、監査が機能しなくなる危険性が危惧される。道路運送法に抵触する大きな問題が今後、起きるだろうと見られる事業者に対する監査が滞るようでは困る。

  いろいろな通報もあるが、例えば、それぞれの事業法は改善のベースになっているので、我われは他の事業法にあるベースはまずそれをやってもらうべきではないか。そこに対応してもらい、それもすべて受け、我われの事業法もやらなければいけない。向こうの事案が増えていけば、我が方は限られたパイの中で優先順位をどうするか、ということになる。

  ――  具体的に言うと、労働法に基づく労働行政であり道路交通法に基づく警察行政に抵触した事案。

  本田  労働の場合はチェックに入り、改善していく。それに伴い、我われも一緒にしていく。それを受け、我われが監査に行く必要が本当にあるのか。

  例えば、労働法に基づき改善されているところは、その目線ではなく、むしろその後の指導、例えばトラック業界で行っている適正化実施機関で巡回する仕組みがあれば、それはそれでできる。

  ――  改正タクシー特措法でも適正化実施機関をつくりなさい、ということにはなっている。

  本田  しかし、それはタクシー業界ではまだまだ形にはなっていない。

  例えば、労働行政が指導してもそれに従わないということがあれば、我われにも改善基準というものがあるので、それはそれで考えるが、それは別として、適正化実施機関のようなものがあるところは、そこの指導ベースで守っている。その後も大丈夫だということがあるのなら、何でもかんでも監査というのは避けられるのではないか。

  ――  事後チェックが必要だと?

  本田  引き続きこのようなことをやっていますよ、という報告があれば、それを端緒に監査へ行かなければならない、という前にチェックするルールを設ければ…。

  ――  監査ではなく、確認にきたという何かを。

  本田  同じような目線で、同じような監査に行くと、優先順位の付けようがない。

  私が危惧した点はそこで、本来、行かなければいけないところが埋没してしまい、情報に追いまくられる。優先順位を付けるのはひじょうに難しいが、そこに行かなければいけないのに、他方の監査へ行かなければならなかった。

  その間に行かなければならなかった事業所で事故が発生してしまった、ということにならないようにするにはどうしたらいいか。余りにも監査端緒の件数が増えている。

  前年度比で1、2割ならまだ優先順位を付けられるが、その比ではない。それが一番の心配ごとだ。これは全般なことで、トラックはまだ適正化実施機関という受け皿があるが、タクシーはそれがないので工夫をしなければならない。しかし、監査と指導が同じレベルだとしたら、最初から監査をした方がいい、ということになる。

  ――  警察で言えば、駐停車禁止区域で違法車両を見つけたら、ただちに違反切符を切る警官がいる一方、常には駐車監視員が順回して、ある意味で違法行為を抑止しているということにも似ているような気がするが。

  本田  自動車監査指導部はトラックとタクシーを分けているわけではなく、1本のラインの中で協力し合って監査していかなければならない。

  昔のように目標となる件数が設定されているなら、旅客と貨物を分け、互いに応援し合うということもできるが、なかなかそのようなわけにもいかない。

  先日の記者会見でも言ったが、自動車監査指導部が暇になることが世の中にとって良いことだと思っているので、我われのサイドでも安全プラン2009、近畿の2010の中でできるものがあるので、集団指導をもう少しできないかと思っている。

  今、タクシーは運行管理者を多数置いているが、懸念するのは、運行管理は本当は何をしなければならないのかを皆さん知ってやられているかということだ。

  我われは悲しいかな、監査へ行き、運行管理に問題があるという指摘をして帰ってくる。そこでタクシーで運行管理に問題がある、というのは何なんだろうと思うことがある。

  出庫点呼をキチンとやっていれが確実なはずなのに、そこに一抹の不安がついて回るのは何なんだろう。先日から、一連の社会的に問題になる事故が発生していることも危惧している。

  我われは、運行管理はむしろタクシーの方がキチンとやれている、という目線だから、何でだろうと考えると中身ではないのかと思う。点呼が形骸化されてしまっているということになっていないのか。

  ――  要するに、運行管理者が点呼で言ったことが、運転者に伝わっていない可能性があると。

  本田  運転者を雇用する時、人の入り方が昔とは違ってきているからなのか。いろいろな会社を回ってきたにしても、その会社で採用した時にいろいろな研修をしたと言っているが、キチンと通じているのかと。

  昔の運転者は頑固だったが、プライドは持っていた。指摘すると「分かっている。何かあったら、おまんまの食い上げになってしまう」と反論されたものだが、最近はそうではなくなってきているような気がする。

  何かが起きて、行かなければいけないのは分かるが、今までは目が行かなかった端緒というものをもう少し考える必要があるのではないか。端緒が良くなれば監査は減るわけだから、それに基づいた監査の内容も変わってくる。

  監査端緒をどう捌くかに追いまくられている。本来行くべきとことへキチンと行けているのか。着任して2カ月、そのようなことを感じている。  (2015年6月4日)