伊東ホテル聚楽で開催
交通労連 交通運輸政策討論集会
寺田 旅客課長が特措法施行後で講演

(2015年6月11日付・第334号)

【静岡】交通労連ハイタク部会(五十嵐真也部会長)は6月3日〜4日、静岡県伊東市の「伊東ホテル聚楽」で、交通運輸政策討論集会を開いた。初日はハイタクフォーラムからの来賓として松永次央・全自交労連書記長、久松勇治・私鉄総連ハイタク協議会事務局長があいさつ。寺田吉道・国土交通省自動車局旅客課長が「改正タクシー特措法施行後の行政の取り組みについて」をテーマに講演。その後に質疑応答が行われた。

  冒頭、五十嵐部会長は、新潟市業界の12社が排除措置命令と総額1億4000万円余り(平成26年10月現在)の課徴金納付命令を不服とし、公取委決定の取り消しを求め東京高裁に提訴したことに触れ、「スケジュールでは最初の口頭弁論は9月以降になるが、また時間がかかると思う。今度は公取委ではなく本当の裁判所なので良識ある判断をしていただけるものと思っている」と述べた。

  また春闘について「我われが乗務している交通圏の需給バランスが整えば、一気に年収が上がる。そのような環境をつくることが大切だ。そのためには特定地域に指定され、ある程度タクシーが減らなければならない。売上が上がりやすい交通圏にした結果、我われの労働条件が良くなる、そのことを何がなんでも実現させなければならない」と強調した。

  来賓として出席した松永書記長は「改正タクシー特措法は全くと言っていいほど、私たちが望んだ方向には行っていない。ただ、各地で安売り競争がなくなったという点ではものすごく評価されるべきだ。29特定指定候補地で12勝8敗という実態で、あと9地域が残っているが、大手と中小事業者との減車の論議ばかりで、営業の制限の論議がないまま不同意になった地域があると思っている。私たちが目指したものが事業者間で潰されてしまった感がある。あと9地域がぜひ同意し、最後の地域での論議が終わったところで、私たちがキチンと検証し、これから先に向かっていかなければならない。民主党が目指した事業法を再度目指さなければ、私たちの方向性はまったく変わらない」と述べた。

  また楽天が資本参加したリフトやウーバーの動きに触れ、「以前のウーバーとは少し違った流れで日本に入ってくるのであれば、入る前から阻止していかなければならない」「道運法を根本から改定するのが楽天の三木谷氏の狙い。旅館業法の改定とともにライドシェアについて、自民党が頷いている。その委員会メンバーに自民タク議連会長である金子一義氏が顧問の2番手に名を連ねていながら、意見を言っていない。労使一体でタクシー問題を需給調整して賃金・労働条件の改善を目指すと言ってきたが、事業者が一生懸命、自民党に要請しても、今の政府に対し、自民の議員はどうも弱腰だ。交運労協を使い、世界のウーバーとリフトがどのような状況になっているかの資料を取り寄せている。その後、ハイタクフォーラムメンバーで民主、社民両党に声を掛けて、どんどん攻めていきたい。これが実際に行われたら、路線バスもタクシーも廃業だ。それを皆で理解した上で、闘いが進んでいくのだと思う」と呼びかけた。

  久松・事務局長は「全国29地域が候補となったが、本来なら全国で70〜80地域が特定地域候補になるはずだったものが、規制改革会議の大きな横やりを受けて29地域になった。これだけでもたいへん遺憾だが、その29候補で不同意になった地域が少なからずあったということは、ひじょうに驚きであり、怒りを持つ。ほとんどの不同意地域では、供給輸送力の削減を厭がったのが主な理由だが、不同意を選択した事業者は本当に改正タクシー特措法の趣旨を理解しているのか理解に苦しむ」と述べた。

  寺田課長は講演の最後で「改正タクシー特措法は適正化と活性化の2本柱だが、どうも適正化に流れがち。私たちとしても支援していくので、ぜひ活性化に取り組んでほしい。テレビも新聞も適正化に対しては厳しいトーンで報道するメディアが多いが、活性化については良い形で取り上げてくれる場合が多い。今、新しいタクシーのあり方検討会を行っているが、その取材で子供向けのサービスを展開している会社がプレゼンをした。そうするとすぐにテレビが取材してそれほど長くないニュース枠で数分間取り上げた。『タクシーの皆さんは頑張っている。厳しい状況だが素晴しい取り組み』とコメントしている。見栄えを良くするという意味ではないが、活性化についてしっかりやっていくということが大事だと思っている」とした。

  新しいタクシーのあり方検討会について「私たちとしては新しいタクシーの取り組みについて議論していくのと同時に、改正タクシー特措法のフォローアップもやっていこうと思っている。まだ施行されたばかりで新しいデータが集まっていないが、準特定地域でどうなったのか、特定地域で効果があったのか、なかったのか、弊害が出ていないのか、そうしたことを数字で整理して、なるべく世間の皆さんにお示しして、広く議論していただけたらと思っている」とした。

  準特定地域協議会で実施した利用者アンケートについては「実は本省でも行った。多分、ホームページでも見られると思うが、全国で1000人程度に同じ質問をしている。これは本省が年に4、5回テーマを決めてインターネットでアンケートを行っているが、今年はタクシーについて行った。ここでなるほどと思ったのは、タクシーを利用する際に重視する点についての質問で、どの地域でも上位に来るのは『丁寧な応対』『安全性』『車内の清潔性・快適性』で、『運賃が安い』というのは5番目か6番目。当然、運賃は安い方がいいか、高い方がいいかと聞かれると安い法がいいと答えるが、意外とこのような聞き方をすると利用者はあまり運賃だけで決めるという発想は少ないということが分かったのが一つの収穫。いろいろな機会に紹介するとおもしろい」と述べた。