寺田吉道 国土交通省自動車局旅客課長
貸切バス 新運賃 実施後1年余りを語る

(2015年6月11日付・第334号)

【静岡】交通労連ハイタク部会(五十嵐真也部会長)が6月3日〜4日、静岡県伊東市の「伊東ホテル聚楽」で開いた交通運輸政策討論集会で、寺田吉道・国土交通省自動車局旅客課長が「改正タクシー特措法施行後の行政の取り組みについて」をテーマに講演。最後に新運賃実施後1年余りが経過した貸切バスの現状に触れた。発言内容は次の通り。

  かつて貸切バスは公示運賃がまったく守られていなかった。守らなくても罰則はなく、純粋な取り引きでバス会社と旅行会社の間で自由に決めていた。

  関越道の事故で明らかになったように、とにかく安値で、安全のための措置やコストがまかなえていなかった。そこで、再度公示運賃をかなり短期間で見直し、実際にいろいろな原価計算を行い、最低これだけは要るだろうというものを出し、公定幅運賃のように上限と下限を再設定した。

  従来の公示運賃と違うのは、『とにかく守って下さい』ということを強く言い、大半の事業者は『一生懸命守る』と言ってくれている。旅行業界も大手の団体の事務局は『安さを追求して再び事故が起きると旅行会社にとってもプラスにならない』と言っている。また『適正な原価がまかなえないと良い運転者が雇用できず、海外から訪れる観光客を運送するドライバーがいなくなる』と協力する旅行会社がひじょうに多数ある。

  実施して1年が経過しているが、多くの地域で守られている。ただ、その中でも守っていないバス会社があり、監査を強化しようと考えている。また旅行会社にも『利用者のことを考えると安くする方がいい』とするところがあるので、その辺は引き続き説明していかなければならないと考えている。

  一方、バス会社の中には運賃が高くなったことで失った利用者もいるので、場合によっては閑散期などに価格を下げるということをしてもいいのではないか、という意見が一部で出ている。これについては業界内でじっくり議論していただきたいと考えている。制度の基本部分を頻繁に変えてしまうとかえって問題が生じる。