2番手 MKの動向がカギ
運転者の声聞き 業績上向く中での判断
ヤサカ7社 深夜早朝廃止取り下げ

(2015年6月1日付・第333号)

【京都】ヤサカグループ7社・計1259両(彌榮自動車=541両、山城ヤサカ交通=140両、南ヤサカ交通、=75両、ヤサカ交通=70両、洛陽交運=283両、銀鈴タクシー108両、第二ヤサカ交通=42両)は5月22日、深夜割増運賃(午後11時から翌朝5時まで2割増)廃止申請の取り下げ願いを提出した。

  深夜割増廃止は先行する6社・計659両に続き、昨年2月以降廃止申請した20数社が認可されれば、京都市域交通圏の法人7割の車両数が深夜割増なしになる非常事態になる可能性があった。

  すでに後続組の都タクシーグループ3社・計535両(都タクシー=346両、西都交通=135両、都大路交通=54両)、キャビック=111両、アオイグループ2社・計189両(アオイタクシー=135両、ギオンタクシー=54両)、計6社・計835両には1年余りと標準審査期間を大きく上回る審査の結果、今年2月から3月にかけて認可されていた。

  標準審査期間を6カ月余り上回った末の認可は、近畿運輸局がMKの公定幅下限割れ運賃実施を抑止するための消極的申請と受け止め、審査の「牛歩戦術」と取ったためと見られる。積極的に認可を待ち望む一部事業者から「行政の不作為」との批判があったことから、局が認可間近の事業者に順に消極的申請だったか否かを確認してから認可していた。

  その結果、現時点では深夜割増なしは京都市域交通圏の法人車両数に対し4分の1。しかし、これに公定幅下限割れ運賃のため深夜割増適用時でも深夜割増なしの12社と同じ運賃水準のMKの約900両を加えれば京都市域交通圏の4割弱に達する。これにヤサカグループ7社1259両が認可されれば、6割が深夜早朝割増なし状態になるところだった。

  一方、全京都個人タクシー共済協同組合によると、傘下組合員の3割弱に相当する250〜280者が「ヤサカグループ7社が認可されれば」という条件付で深夜早朝割増廃止を希望していた。 これら組合員が申請すれば他の個人タクシー団体にも波及し、さらに廃止組が増える可能性が待ち受けていた。

  また他地域では深夜割増を外す動きが、自社の営業エリアに飛び火しないか、戦々恐々とする事業者が多数あった。

  京都運輸支局では、深夜割増廃止申請をしている事業者は残り数社だが、今後はヤサカグループ7社の取り下げの影響を受け取り下げる事業者が出てくると見ている。事実、5月25日にはエコロ21(20両)が取り下げ願いを提出している。

北川賢持・彌榮自動車常務取締役の話

  以前から取り下げは検討しており、申請から1年、様子見をしてきた。もともとヤサカグループは運賃競争はすべきでないとしてきた。

  できたら同一賃金を主張したい。昨年4月に実施された公定幅運賃により、全国の運賃競争は収束の方向となっているが、京都は例外で、運賃競争が続いている。

  深夜早朝割増運賃の廃止は、昨年20数社が申請する以前に、すでに6社が行なっているが、これら6社は廃止をやめないということらしい。公取委の目もあり、廃止取りやめを強くは要請できないなか、各社申請が続いた。ヤサカグループは運賃の統一を望んでいたが、運転者が深夜割増を廃止したタクシーとの競争を余儀なくされるのならと、仕方なく廃止申請を行った。

  申請以降、1年が経過する中、状況が変わってきた。明星自動車がタクシー部門を廃業し、京聯自動車が民事再生法適用を申請するなど経営破綻する事業者がでてきた。

  一方、外国人観光客数は相当な伸びを示している。こうした中、運賃競争に巻き込まれていると、運転者に負担が行くだけだ。企業努力とは言っても、運転者の賃金は歩合給。深夜は運転者にさまざまな負担を強いる時間帯なのに、その時間帯に照準をあてて競争するのはいかがなものか、という議論があった。

  昨年3月、深夜割増を廃止してほしいという気持ちが強くあった。運賃格差がある中、仕事をさせるのは、運転者にハンディを負わすことなになるとして申請に踏み切った。第一陣の認可まで、申請から1年余りと長い時間がかかったことが、かえって運転者にじっくりと考えさせる時間を与えた。

  グループ各社は運輸局から求められた追加書類の提出が終了していたので、当グループの認可もボチボチくるのではないかという気はしていたが、運輸局から「認可の打診」があったかというと、そうではなかった。

  運輸局には「早く認可してほしい」とも「認可を待ってほしい」とも言っていない。

  今年2月以降、都タクシーグループ3社、キャビック、アオイタクシーグループ2社に深夜割増廃止が認可され、運転者からは実施後の状況を見る中で、「このまま行かせてほしい」とする声が上がってきた。

  こうした運転者の声の変化を拾うように、と各社に指示していたが、「このまま」の声が大きくなっていった。深夜早朝割増の時間帯である23時から翌朝5時までの6時間、当グループの運転者で仕事をしている人はそう多くない。

  深夜早朝出発割増運賃を廃止してパイが広がるか、と言うとそうではなく、パイの奪い合いとなる。実施したら、利用者は別として、会社、運転者の誰も喜ばないというのは目に見えている。

  5・5遠割は5000円を超える運賃が半額になるというものだが、深夜早朝割増を廃止すれば、深夜早朝に運行するすべてのタクシーが約2割引となる。運転者の意向で取り下げたが、今後、運転者から再度、廃止の声があがった時には、その時にどうするか考えたい。