国民納得できるロジックを
ない制度をあるかのように言うのは止めてほしい
預かり休車 阿部 自動車交通部長に聞く

(2015年6月1日付・第333号)

【近畿】これまで開かれた準特定地域協議会で「預かり減車」あるいは「預かり休車」の創設を課題の一つとしたいとする声が、協会長クラスから聞こえてくる。昨年、最初に「預かり休車」制度創設に言及したのは全タク連の富田会長だった。その預かり休車はその後、国交省や各党のタク議連で制度化が要求されたが、「制度化」は一般化の手続きが必要との回答があり、暗礁に乗り上げたと風の便りで聞く。しかしその後も富田氏からは「破談になった」という「中止命令」はなく、預かり減・休車は今も全国各地を一人歩きしている。全タク連の要望なら正式に要望書を携えるべきだろう。

  ――  11地域が特定地域に同意し、7地域が否決され、大阪市域交通圏は継続審議に(5月22日現在)なりました。これは、ある程度予測されたことなのでしょうか?

  阿部  ある程度は予測していました。特定地域の指定は事業者にとって不名誉なことだし、決して恩恵的なことではありません。個々の会社からすれば、減車を迫られることなのですから。

  ――  特定地域になると、減車が迫られるのですか…。

  阿部  地域で供給力の削減が、その迫られるということです。削減の方法にはいろいろありますが、いちばん代表的なのは減車であることには間違いないでしょう。

  ――  しかし、これまでに国土交通省が示しているいくつかの供給削減のパターンには、すべてが営業方法の制限であってもいいというものもあります。今の部長のお話では、それはダメということになります。

  阿部  減車を基本とするとは言っても、例外はあります。

  ――  先日、部長が開かれた記者会見では「預かり減車」という表現だったと思います。

  阿部  預かり現車って、一体何なのですか? 文字にして下さいよ。

  ――  現に京都市域交通圏では、一定の減車をした事業者に対しては(期間限定減車が)可能という公示が出ています。

  阿部  それは、いつでも戻せるのでしたっけ?

  ――  定期間以上は減車しなければならないという括りはあったと思います。かつて需給調整規制が行われた時代には、年末年始臨時増車や期間限定減車など、いろいろと弾力的運用が行われてきました。これと同じような措置は、特定地域候補にはならなかった京都市域交通圏や河南交通圏で施されていますが、私が質問したのは、正確に言うと「預かり休車」についてです。

  これは全タク連の富田昌孝会長が昨年、岡山で開かれた全タク連全国事業者大会で公式に表明しました。富田会長は「準特定地域や特定地域に限らず、一定以上の減車をした事業者に対し、例えば100両保有していて10両減車済みの会社には、さらに10両を休車でき、その10両は原則として出し入れ自由、という制度を提唱しました。

  それが、いつの間にか独り歩きし、「預かり減車」で減車分については出し入れ自由と異訳されてしまいました。その後、富田会長が提唱した「預かり休車」は国交省やタク議連の段階で「難しい」という判断に遭い、聞かれなくなりました。

  しかし、富田会長は「地方で論議し、議員に働きかけては」とも発言しており、それが昨今のように多様な「預かり減車」という形に変化したのだと思います。

  話を元に戻して、特定地域における供給削減の一環としての「預かり休車」というのは可能でしょうか。

  阿部  やるかやらないかは最終的には本省が決めるのでしょう。やるとなれば、我われはそれに従ってやります。

  ――  現段階では何も決まっていないというころですね。

  阿部  そうです。しかし、預かり休車、預かり減車についてコメントを求められるとしたら、もう少し緻密な提案をしていただきたい、ということでしょうね。「預かり減車」「いつでも戻せる」というキーワードだけが飛び交っているようですが、最後はキチンと紙にしないといけないと思います。

  個人的には政策論として理解できないという点です。何のためにやるのか分かりません。労働条件の改善に預かり減車・休車をどうつなげるのか。運転者がいない分については減車して税金や保険料などの費用を浮かしたいということでしょ? そして、運転者の採用ができたらすぐに復活させ、稼働を上げるということですよね。

  ――  先日、部長にこの件でお伺いしたときには、実車率や営収がどの程度まで向上していないと復活できないなど、何らかの客観的指標が必要ではないか、という個人的見解を示していました。

  阿部  個人的な見解を述べると、労働条件が改善され、タクシー産業が良くなるひとつの呼び水となるようなロジックと、それを裏付ける制度設計があれば、考える余地があると思います。

  ――  本日のお話で、預かり減車・休車はこれから、というのは分かりますが、全国29の特定地域候補のうちのいくつかの地域が特定地域に同意を経て指定され、特定地域協議会が開かれると思います。

  それ以降の論議で地域計画が策定され、供給削減の一策として預かり休車が盛り込まれたときには…。

  阿部  だから、制度がないのに勝手に盛り込むのですか?

  ――  まず、制度化されないと特定地域計画に盛り込めないというのですね。

  阿部  それは分かりませんが、国の制度と関係なく業界による勝手制度なるものが預かり休車になりえるのか? それができるなら、業界が勝手にやったりいいじゃないですか! 経費を浮かせたいのでしょう? 要するに、余っているタクシー車両の登録を抹消したいのでしょう?

  しかし、登録を抹消するとなると、国の制度そのものじゃないですか。税金や保険料などの費用を浮かすことがキモだとすると、制度そのものになるのです。

  ――  いや、勝手じゃないですよ! 地域で話し合って制度制定を訴えていきましょうということです。そうなった場合は行政は動く、ということですね。

  阿部  だから、分からないですよ。協議会で預かり減車・休車を言うのはやめてほしいですね。あれは本当に内々の議論ですよ。さっぱり分からないし、運転者が不足しているときには減車して税金や保険料などの費用を浮かせ、運転者が来たら復活増車して儲けたい、ということでしょ。それは身内の論議で、身勝手ですよ。

  ――  しかし、それが業界内の論点になっているとしたらどうするのですか?

  阿部  それは本省が考えるのでしょう。ただ、どうしても預かり減車・休車が必要だというのなら、外向けのロジックを考えてほしいということです。「ナルホド、これなら業界を良くするため、公共交通としてタクシーを良くするための制度かもしれませんね」というロジックを考えて下さいよ。そういうことをセットで訴えないとダメですよ。    (次号に続く