決戦前夜 大タ協理事会で 賛否両派が大激論
現在 構成員総車両数の過半数が特定地域合意
特定地域指定の合否巡る論議の全文を公開

(2015年4月21日付・第330号)

【大阪】4月27日、大阪業界にとって、まさに天王山の決戦となる準特定地域協議会が天王寺区の「ホテルアウィ―ナ大阪」で開かれる。「大阪のために作られた改正タクシー特措法」が有効に機能するか否か、大阪市域交通圏の特定地域合意の賛否が諮られる。その前夜となる17日、(一社)大阪タクシー協会・第36回理事会で、賛成派と反対派により論戦が繰り広げられた。

  特定地域指定論議では、薬師寺薫・最高顧問(関西中央グループ代表)が「三野会長は以前、『特定地域に指定された場合、これまでに減車していない、また減車が不足している会社に対し、減車を先行すべき』という発言をした。その発言は取り消していないと思うが、いかがか」と質問。

  三野文男会長(商都交通社長)は「特定地域委員会において、減車措置が始まった当時に遡って公平にすることが可能という規定があるので、その適用があってしかるべきという発言をしたと記憶している。ただし、前回理事会の経営委員会報告で、『不公平の是正が前提条件』ということが言われたので、私は『それは前提条件とせずに特定地域委員会において、その不公平是正を含めて議論すべき』と修正を求めたところ、牛島憲人・経営委員長から『会長の意向に従う』という答弁をいただいた。現在は正式に修正したと理解している」と答えた。

  薬師寺氏は「過去に2度、『不足会社は減車を先行すべき』という発言をしているが、それを覆すというか、特定地域委員会で議論するということ。特定地域に指定され、そのような議論ができるのか、というのが私には分からないが、過去の会長の発言は取り消すということだが、会長の発言はもう少し重いものではないか」とした。また協会事務局に対し、「足立堅治・専務理事が、特定地域への手順を説明するとともに、供給過剰削減について、『旧法の準特定地域下で20%減車未実施の大阪エムケイ、ワンコインタクシー関係事業者などに20%減車をやっていただくのが法のメーンだ』と表明したという業界紙の報道がある。これは、20%減車をしていない事業者に20%減車をやっていただくというように受け取っているが、そのような解釈でいいのか」と質問。

  足立堅治・大タ協専務理事は「そのように思っている」と答えた。

  薬師寺氏は「だとすれば、今私が言った減車を先行するということになるが、そうしなければ、足立氏の発言はウソだったということになる」と指摘。

  足立氏は「特定地域協議会に協会の意向として、そのような話を持ち込みたい。それを協議会で議論して認められればその通り実施することになるし、反対も予想され、合意されなければ難しい」との意向を示した。

  これに対し、薬師寺氏は「三野会長の発言とズレてくる。会長は特定(地域協議会)の中でそのようなことを発言する。足立専務は、三野会長の発言よりも少し硬く、そこへ行くまでに業界の主張として持ち込む(としている)。似たような話だが、両者の話はつながらない。足立専務の言う通りなら、経営委員会報告と同じだ。足立専務は特定協議会の事務局長になる予定。理屈に合わない問題が発生している。会長と事務局長がちょっとズレているといウのは会員としてクエスチョンがあると思い質問している」と質問の意図を説明。

  三野会長は「2人の主張に大きな違いはないと私は認識している。私は、特定地域に移行するまでは、減車を揃えるべきか否かについて、特定地域移行合意が決まるまでには触れる必要がなく、特定地域に指定された場合には大阪タクシー協会として公平な減車を主張するつもりだ。その主張するタイミングに少し差があるきらいはある」と答えた。

  薬師寺氏は「足立氏の発言はもう少しハッキリしてるが、今の話として会長も事務局も発言している。そこをハッキリしてもらわないと、特定地域に入る前の話として『我われはこのような意見をもっている』と言っている。準特定地域の現状の中で、減車をしていないところを先行させると言っているわけだから、そのように業界の希望としていくのかと。だから、事務局と会長がバラバラでは困る。業界の主張として1本で入ってもらわないとプラスにならないと思っている」とした。

  また事務局に対し、「どこかの説明会で、40両以下は減車に関係しないという報道されている。これはどうか」と質問。

  足立氏は「これは特定地域に入ってから議論することだと思っていたが、無所属のカテゴリーの事業者から『中小がひどい目にあって、大手がいい思いをする』という意見があり、『中小がこれ以上減車はできない』としたので、その時にそのような話をした。平成26年1月27日の法施行時に、ガイドラインが出ている。会員にも自動車局の通達を配布しているが、役所の文書なのでなかなか読めていないと思うが、そこには『準特では新規参入ができる。その際には最低車両数が必要で、それが40両で、それを下回る場合は考慮する』ということになっており、文書では『最低車両数を下回る場合には営業方法の制限による供給輸送力の削減にする』と明記していることを説明した」と答えた。

  薬師寺氏は「簡単に言うと、40両以下は減車の対象外になる可能性が高いという意味か」と質問し、足立氏は肯定した。

  薬師寺氏は「事務局の報告と経営委員会の報告を比較すると、経営委員会の報告が『ちょっと違う』ということにならないかと思っている。会長が言ったこととは少しズレる、ということを指摘しておきたい」とした。また「売り上げが増えるところまで供給を減らすとなるとたいへんなことになると思うが、大阪市域1万3200両の稼働率72〜73%で9200両。そこで問題になるが、1万576両という適正車両数があるが、この間にギャップがある。1万576両まで減車しても売り上げが増えるとは、どうしても計算できない。適正車両数の下限まで減車してどのような営収改善ができるのか、協会として予測を出すのか、出さないのか」と質問。

  足立氏は「経営委員会ではそこまで議論できていない」と答えた。

  牛島憲人・経営委員長(松竹タクシー社長)は「計算するつもりがないのではなく、今出ている数字は実働率が90%の場合と80%の場合の一つの例。どれを適用するのかは地域協議会で決めることになる。あくまでも私見だが、実際の数字である77%を使って計算すべきだと思っている。厳しい数字を提示すれば、確かに効果は出てくるだろうが、全事業者の同意は得られないと思う。逆に全事業者の同意が得られるような低い基準では、ほとんど効果がない。だから、なるべく多くの事業者が同意できる点で効果がある点を地域協議会で論議していくのかな、と考えている」と答えた。

  薬師寺氏は「現実から離れたちょっと緩いデータを作るという話では、協会としてどのような取り組みをしたら労働環境の改善につながるのか。経営者の集まりとして、どっちに向くかは多数の意見でいいのだが、私の頭では矛盾が何点か出る。理屈に合わない部分は大いに考えていただき、理屈に合わせてほしい」と要望した。

  岩城秀行理事(北港梅田グループ)は「今のやり取りを聞き、まるで合意を得るためにやっている感じがした。大義名分は労働条件の改善が皆さんの主たる目的になるべきだと思う」と感想を述べた上で、「特定地域移行調査で76社が合意するということだが、そこに意見を書く欄があり、そこに合意条件が付いている会社はなかったか」とただした。

  これに対し井田信雄・大タ協常務理事は「協議会の事務局として動いている部分もある。とりあえず理事会に一定の報告をしなければならないということで、数の報告だけを行った。意見欄の集約はまだできていない」と答えた。

  牛島氏は「先程の私の発言は、合意という言葉を使い、少し分かりづらかったのだが、特定地域に指定され、合意されて、その後、地域計画を策定するときの話。地域計画を策定するときには(車両数比)3分の2の事業者合意が必要。いくら理想の高い地域計画を立てても、3分の2の合意がなければ、その地域計画は策定されない。合意の得られない計画の議論をするなら、最初からしない方がいい。策定可能な地域計画で、なおかつ効果のあるものの着地点を探るのが議論の中身だと思う」と答えた。

  これに対し、岩城氏は「では、合意しても効果のないことをやっていていいのか。効果のないことにたくさんの時間と労力を費やし、まったく効果がなかったら、何のためにやってきたのか、という話になる」と反論。

  牛島氏は「効果があるかないかを考えるのは、地域協議会だ」と指摘。

  岩城氏は「効果があるかないかを考えるのは我われだ。我われは考えなくていいのか」と再反論した。

  牛島氏は「我われは一つの意見に集約して会長に託し、協議会で議論してもらうのだが、地域協議会が計画案を策定して提示するので、効果のあるものをつくるのか、どうかは最終的に地域協議会になる」と説明した。

  坂本篤紀理事(日本城タクシー社長)は「私はワンコインの悪いヤツと話をしてみたが、もちろん彼は一国一城の主なので、その人に恥をかかせるのではなく、その人の話を聞いてみようということだった。我われとは種類が違うものなので、言っていることからバラバラな人もいるので仕方がないが、ハッキリしているのは、その人でさえ『ガレージで眠っているクルマを安く買いたい』と言う。安いのはナンボかと聞くと『50〜60万円なら20両買う』と。規制がなくなり、自由化になったら買わないでいいと言うと、『いや、タクシーはこれ以上増やしたらアカン』と言う。ということは、あの人らですら、何らかの規制がタクシーには必要で、増やしたらアカンと言う。今の2人のやり取りのもう少し先の話になると思うが、私が思うのは、効果があるかないかではなく、合意するのはとても大切なことということ。合意なしにこれから先まとまるわけがないし、自由化になってしまったら、今の議論はなしになる。ましてや銀行がどこを向いて金を貸してくれるのかというと、結局は認可(ナンバー)権だ。それすら失ってしまう。本来、認可権が売り買いできるのはおかしなことだとは思うが、私は現状を見たら、東京と唯一異なるのは、運賃で競ってしまった結果だ。東京の中古は買わなアカン、東京から会社が来たら、認可権を売ってしまう。私は阪神ファンなので東京アレルギーがあり、東京から大阪へ来たら、本来は弾き返したいくらいだが、それが現実だということを踏まえて議論をしてほしい」と要望した。

  岩城氏は「合意そのものが目的ではなく、状態を良くするのが目的だと思っているが、とりあえず合意しようか、という軽い話なのか。この場で納得いくまで、徹夜してまで議論することがあってもいいと思う」との考えを示した。また「先程、事務局に『合意に条件を付けた人はどのくらいいるのか』と質問した。『条件を付けて合意している』という人がかなりいると聞いている。その辺を明らかにしてほしい」とした。

  足立氏は「集計ができたところで、公表できるかどうか再度理事会にかけたい」との考えを示した。その上で「ただ協会内部の構成員意見は別として、協議会全体の意見は難しいので控えさせていただく」と答えた。

  高士雅次理事(都島自動車社長)は「協議会のタクシー事業者としては多数決で決めるとしても、大阪タクシー協会の意思はないのか。協会としてどのような発言をするかやどのような方向でいくのかを理事会で審議しないと意味がないと思う。合意ありきで、そちらの手続きだけ先に進んでいる。本日のアンケートの結果がそうだった。これについてこうしますという報告を聞いているだけで、我われ協会としてどうするかを議論しなくてもいいのか」と質問。

  三野会長は「前回理事会でも言ったが、まず特定地域になることが先決問題であり、特定地域協議会が成立した段階においては、理事会でもどのような方針の下で協議会にのるのかを大いに議論していくと申し上げた。まず特定地域になってから、というのが私の考えだ」と答えた。

  高士理事は「アンケートで数でいけるということは分かったので、ただちに議論に入らないと、時間切れでズルズル行くような気がしてならない」と疑問を呈した。

  三野氏は「正式に本日、私も過半数を超えているということを聞いたが、まだ合意が増える可能性もある。その中で、どのような割合で合意が得られたか把握した上で、次回理事会で議論したい」と理解を求めた。

  これに対し高士氏は「了解した。であれば先ほど岩城氏が言ったように、どのような条件が付いているかも明らかにしてもらわないと議論ができない」と注文を付けた。

  薬師寺氏は「事務局に聞きたいが、特定地域に指定されてから議論するというが、あのシステムの中で、本当に議論できるのか。分かっている部分については、もう少しキチンとしてやるべきではないのか。減車の方向に走れ、というのが皆さんの意見なら、それでいいのだが…」と質問。

  足立氏は「(27日に合意したらかといって)運輸審議会が認めるかどうか分からないが、その6月から特定地域協議会を招集するのに45日間置かなければならない。夏が終わった頃に特定地域協議会を開催することになると思う。その間、業界として本音の議論をして特定地域協議会にぶつけていくことはできる」との見解を示した。