相次ぐ老舗経営破綻 京聯自動車 民事再生申請
無念の労使 親会社の会社更生法適用から10年
取引銀行「分割譲渡は企業価値が低下」で断念

(2015年4月11日付・第329号)

【京都】京聯自動車の武田義裕社長、今井利一・統括部長らは3月31日夕方、京都市中京区の「京都商工会議所」で記者会見を開き同日3時30分、京都地方裁判所に民事再生法適用申請を行い受理され、裁判所から弁済禁止の仮処分決定及び監督命令が発令されたことを明らかにした。

  京都では2月、明星自動車が廃業したことに続く悲劇だ。武田社長は「経営努力を続けてきたが、このような事態となり、債権者の皆様にお詫び申し上げます」と陳謝したうえで、「今後は裁判所及び監督委員の下、市民の皆様の足を支える公共交通機関としての責任を果たすべく、再生計画を立案し、社員一丸となって全力で奮闘する所存です」と表明した。記者会見で公表された負債総額は10億2258万円。

  京聯自動車は、京都市南区上鳥羽金仏31番地に本社営業所を置くタクシー194両を保有する中堅会社。これに対し、運転者172人、内勤者9人と圧倒的に運転者が不足している。同社は1938(昭和13)年、戦時統合でできた会社で、京都交通、京都タクシー、京都観光バスほか数社とともに川本直水氏(故人)ら創業者一族による経営が行われていたが、1970(昭和45)年代以降、業績が悪化し、観光バス会社等が徐々にグループから離脱。また他社に統合されるなどで、2004(平成16年)には本体の京都交通が会社更生法適用申請を行うに至った。タクシー事業の京聯自動車が残り、翌2005(平成17)年、多額の負債が残されたまま、経営権は川本家から労組委員長経験者の横山末松氏に移った。

  経営権が横山氏に移された後、整理回収機構(RCC)に提出した事業改善計画に基づき再建計画を図り、リストラ等の経営努力を行ったが、規制緩和前から激化していた運賃競争、規制緩和実施後の運賃値下げと増車競争等による経営環境の悪化に伴い、累積債務の返済は困難と判断した。

  同社の資本金は6000万円だが、このうち約7割が自交総連に加盟する京聯自動車労働組合の保有。整理回収機構が入った後に社長を務めた3人のうち2人が労組委員長を務めたことからも、事実上、労組が管理する会社と言える。

  返済困難とされる累積債務約10億円のうち、約2億1000万円が2004年当時までの社会保険料滞納分7000万円と法定延滞金の合計。3億9800万円は京都中央信用金庫からの借財。ともに2004年頃までのもの。銀行へは利息分が返済できていたが、元金は返済できないまま残ったという。

  半期決算期の昨年10月、社会保険庁から元金と延滞金合計の約4分の1にあたる4500万円に一括返済を責められ、やむなく今年4月末に割れる約束手形を切ることになった。このほとんどをタクシー30両の売却により充てることとし、契約目前になっていたが、これが中信の知るところとなり、「企業価値が落ちる」と反対され断念。この時点で不渡りの発生は、ほぼ決定したと見られる。

  大株主である労組の浅井大二委員長は「創業家が残した借財はあったが、それ以外は従業員の努力により単年では黒字計上している。ぜひ京聯タクシーを使ってほしい」と唇をかむ。

  これには今井・統括部長も「民事再生法適用申請のため急ぎ2月末で仮決算を組んだが、今期は1000万〜3000万円の黒字見通し。取り引き先関係の支払い遅延はない」と口を揃える。

  しかし、これでは返済困難とされるのは約6億円で、記者会見で公表された約10億円とは、まだ4億円の開きがある。

  この差額について、今井氏は「最近発生した重大事故の裁判が始まったが訴状段階ではあるが、その総請求金額は約3億6000万円。この金額を過去の延滞金額に上乗せしたため」と説明した。

  民事再生法適用申請は連休明けの5月20日頃までに決定される見通しだ。決定されれば9月頃までに再生計画が提出されることになりそうだ。