「これからのタクシーに望まれること」テーマ
「いろいろな機会を捉えてアピール」を強調
「インバウンド取り組み重要」寺田課長の講演

(2015年1月21日付・第321号)

【東京】国交省の寺田吉道・自動車局旅客課長は1月15日の全タク連第27回常任理事会で、「これからのタクシーに望まれること」と題して講演した。

  寺田課長は冒頭、今の政府の主要課題として①景気・経済の再生(地方再生)②震災からの復興の加速化③危機管理(防災・事故対応)――の3点を挙げ、「バスではいねむり運転など、健康に起因する事故が続いている。タクシーも同じで、いろいろな取り組みが必要」とした。

  また観光の重要性を挙げ、「インバウンドが一昨年初めて1000万人を超えた。昨年12月途中に1300万人を超えた。1年間で300万人増えたのは、ひじょうに高い伸びだ。インバウンドが増えていることは、いろいろな意味で社会・景気・経済を良くする方向でつなげていけないか」と問題提起した。

  インバウンドに対しては貸切バスで囲い込みをしようとしているが、なかなかうまくいかないとして「日本の利用者と行動パターンが異なる。悩ましいところがあるが、何とかその辺を解決しようと、観光行政、自動車行政、バス関係者、旅行会社が集まり、いろいろな議論をし、課題を共通認識化する会議を定期的に開催している。一般的な旅行会社だけでなく、外国からお客さんを連れてきて国内でいろいろなアレンジをするオペレーターにも参加してもらい、バスを利用するときにはこのような点をもっと便利にしてほしいという要望を聞いている。すると海外からの利用者はこんなニーズを持っているが、なかなか対応できない。旅行業者がこのようなアレンジをするとバス会社もツアーオペレーターも、もっと行動を拡大することができるということが分かってくる。タクシーでもそのような議論をしている事業者が多数いると思うが、その辺は行政も十分な対応ができていないので注力していきたい。また福祉輸送は少子高齢化でますます二―ズが高まる」とした。

  その上で「タクシーはメディアで多数取り上げられているが、否定的なニュアンスで報道されることが多い。規制緩和・規制見直しでは、理解してもらえるメディアがある一方、強い批判をもつメディアもある。一方、観光や福祉の取り組みはなかなか取り上げてもらえない。行政もそのような面をもっとPRしていきたい。タクシー事業活性化の取り組みでは、それぞれの地域で創意工夫を凝らし、自治体とも連携していろいろなことをしていただいている。その流れをさらに進めていただけたらありがたい」と訴えた。

  最後に「今回の改正タクシー特措法に限らないが、タクシーへの期待が集まっているという現実に立ち帰り、活性化の取り組みを進めていかねばならない。行政としてもいろいろな機会を捉えてアピールしていかないと、せっかく一生懸命やっていることが正当に評価されない。そのような危機意識をもって国交省の仕事を進めていきたい」と決意を表明し、理解と協力を求めた。質疑応答の内容はぐぎの通り。

  質問  指定期間3年以内としているが、1年、2年という場合があるのか。私の交通圏では準特定地域を外れてフリーになった。そこで増車があり再度供給過剰になった場合はどうなるのか。

  回答  地域協議会で議論する中で2年でいいという場合もあるかもしれないが、原則的には3年と考えている。3年で予定していた、いろいろな取り組みがさらに1年程度かかるので延長したいという趣旨なら1年、2年延長することも可能。それは実務で実情に合うように決めていきたい。指定から外れた場合については、特定から外れると準特定となり、準特定から外れると、昨年3地域であったように道路運送法の原則に戻る。

  質問  特措法の施行期間が終了したらどうなるのか。準特定地域は特措法が終了してからも続くのか。

  回答  特措法自体は一定期間で見直しをすることになっているが、法律自体は恒久的に残ることになっている。準特定地域の運用は始まって1年なので、これから実質的効果をしっかりと見て、長期的な法律のあり方については、3年後に5年ごとの見直し時期になるので、そこで議論してもらうのがいい。

  質問  特定地域や準特定地域は努力すればするほど解除に近づく。これでは一生懸命に事業を行う意欲が阻害されることになりかねない。そうした矛盾点があり理解するのが難しい。特定地域に指定され3年が経過すると協議会のメンバーも変わり、行政担当官も変わる。ただ、現在を見ると、途中で実効性が現れたら指定を切るなど、かなりさびしい内容だ。これでは一生懸命やっている人が報われず、悩ましい。

  回答  趣旨は理解でき、そのような質問は日常的にもいただいている。もともと改正タクシー特措法ができたときのレベルに立ち帰るが、原則として規制緩和となったときの考え方があり、ただ供給過剰になったときの問題が必要なので、そのときに期間と場所を限定して規制を導入しようというのがスタートだった。道運法の原則を変えようと言われる人がおられるが、そのような形はとらないので、どうしても言われるようなことがおこる。まだ特定地域がスタートできていない状況なので、まず特定地域の制度をスタートさせてしっかりと効果を出す。それによって効果だけでなく問題点も出てくるかもしれない。そこをしっかりとフォローアップして制度の改善を目指して議論をしていくのがいちばん大事だろう。

  質問  スケジュールはどう考えているのか。一般紙が東京は特定地域から外れるとか、名古屋が外れるとか言っているが、我われはデータを細かくもっていない。その辺のところを聞かせてほしい。

  回答  まだパブコメ期間中なので、具体的に指定地域についてお話しすることは遠慮させていただく。マスコミにもそのように対応しているが、記者がどのようなニュースソースで書かれているか分からないが、私たちとしては具体的な地域名の公表は差し控えていただいている。スケジュールについてはパブコメの締切が終わってから、ケースバイケースで回答を整理して基準を策定することになる。今回はそれ以外に協議会の合意を基準に入れているので、協議会の招集から開催まで2カ月程度かかる。協議会同意後、国交省の運輸審議会で議論する手続きが入り、それにどうしても数週間、1カ月程度かかる。したがって、いつとは申し上げられないが、指定基準策定後、そのくらいの日数はかかる。

  質問  実働実車率が10%以上減少したときという数字があるが、実働率が下がれば実車率は上がるので、どのように理解すればいいのか。人口30万人以上の都市というが、北海道では地方の人口がどんどん減っており、札幌でも今年がピークで来年から減少に転じる。特定地域については、まず改善された数値になればただちに外れるという理解でいいのか。

  回答  パブコメでは詳細に書いていないが、基準を外れたら解除されるというのはその通りだが、一旦指定されたらいろいろな計画を策定したり、事業者の皆さんが議論する時間は必要なので、指定されて翌月に指定解除されるというのは不合理なので、そのようなことはないようにしたい。ただ最初に3年間指定されたとき、その間に指標が外れたときでも指定地域のままいるものではないということが書いてある。実働率と実車率を掛け合わせて10%以上減少というのは、平成13年度数値と比較して、かなり大幅に減少しているという状況を具体的に数値化する場合に妥当ではないかという考え。人口30万人にはいろいろな議論があるが、目安として今回の法改正の定義で、流し営業でいろいろな問題が顕在化しやすいという議論があった。例外はあるが、行政運用で人口30万人以上の都市で流し営業が多く行われているというのがあり、それをもってきた。

  質問  大都市は努力次第で適正化・活性化の道はあるだろうが、人口30万人以下の都市は零細で、需要も縮小していく。本来は地方の方が需要が縮小していく。なくなる前に手を差し伸べるのが良い政策ではないのか。できたら人口30万人以下の都市も指定してほしい。

  回答  ご意見は承る。検討の対象にしたい。パブコメでもその点は出てくるだろうと思う。ただ、町の規模もあるが、流し営業で問題が顕在化しやすいということがあったので、流し営業が比較的行われている地域として、このような基準を設けた。

  質問  東京だが、特定地域というと、当然のことながら構成員の問題がある。今回、3分の2以上という特定地域計画があるので、構成員には大企業、中小、個人といろいろなカテゴリーに分けてやっていくということになっている。準特定地域のときには2分の1以上の同意という規定があり、委任状をもって算定した。もし特定地域に指定された場合には法人の3分の2以上の委任状がなければ構成員として認められないのか。もう一つは協議会が同意しなければ特定地域指定基準を満たす数値であっても特定地域にならないのか。

  回答  特定地域に指定する前に協議会の意向を確認するので、協議会として同意されないなら最初から指定しない。①〜⑤までの数値について条件に合致しているという情報を協議会に提出した上で議論してもらう。いずれにしても協議会で議論する際には他の条件についても材料が揃っている形にする。基本的には3分の2以上の考え方でいいが、議決方法で不具合や運用上気になる面があれば協議会を動かす際の実務問題としてあらためて考えたい。