富田会長 預かり休車の創設に意欲
事業者単独で頑張れる方法と強調
今年最後の全タク連正副会長会議

(2014年12月11日付・第317号)

【東京】富田昌孝・全タク連会長は12月10日、東京都千代田区の「自動車会館」で開かれた今年最後の正副会長会議冒頭で、11月7日に岡山市内で開かれた事業者大会を担当した中国ブロックの事業者をねぎらい「お世話になった」とした上で、これまでを振り返り総括的に語り、来年に期待をかけた。また正副会長会議では、運輸局担当官が地域協議会に「黒子」ではなく正委員で参画できるよう働きかけるべきとの声が上がった。富田会長の発言はつぎの通り。

  特定地域指定問題を報告できればいいのだが、できないのはたいへん申し訳ない。近々に報告できるようになるのではないかと期待している。今まで業界は、タクシー議連を通し、政府にお願いしてきたが、なかなか結論が出ないまま、ここまで延ばされてきた。現状では国交省と規制改革会議が細かく打ち合わせをしてきているが、選挙が終わったら、また政府と打ち合わせをする。答は間もなく出されると期待している。1日でも、1時間でも早く指定基準を出していただきたい。それが出されると、パブコメなどの手続きがあり、実施されるまで時間がかかる。業界としては、そんなに時間はないと強く訴えている。皆さんも地方から声を出して、バックアップしてほしい。

  10%への消費増税が延期されることになった。全タク連としては、軽減税率の適用を希望している。いつもやっていることだが、なかなかうまくいかない。

  先日、田端浩・国土交通省自動車局長と対談する機会があった。今度の選挙の目玉の一つでもある地方創生で、タクシー業界も地域の人びとや地方自治体とよく相談しながら、各地域でタクシー業界が栄えていくような努力をしてほしいとの話があった。「そうは言っても、この景気では難しい」と答えたが、第3の矢が成功するよう期待している。特に地方自治体との関係では、私たちの業界にある慣習のようなものが効かないので、地方自治体に窓口を設けていただくなど、パイプづくりを国交省にお願いしている。これからは、全タク連が国交省と打ち合わせをするのではなく、各地で皆さんが自治体と一緒になって、地域協議会を通していろいろなことを実行していくことになる。

  女性の雇用問題についても、私たちの業界では、全国で2%余りしか女性乗務員がいない。東京も恥ずかしながら、700人余りで、1・2〜1・3%しかいない。女性を雇用するには、労働環境を整えなければならない。女性が業界に入ってきて、真面目に働いても「こんな賃金にしかならないのか」というレベルでは、すぐにやめられてしまう。高い賃金が取れ、タクシー全体が繁栄するよう、行政は政府と一緒になって頑張り、特定地域指定基準が1日も早く実施され、実効性のある法律になるようお願いしていきたい。

  タクシー業界ほど景気に左右される業界はなく、なかなか総需要が回復しない。ひじょうに苦労する中、燃料が高騰した。私たちはギリギリのところで経営しており、ちょっと高い波が来ると、溺れてしまう。国交省の資料によると、昨年度は全国事業者の64%が赤字で溺れてしまった。実際には80%程度ではないかと思っている。黒字の事業者でも100万円程度では儲かったとは言えず、もう少しゆとりが持て、運転者に賃金が払えるように政府も業界も頑張ってほしい。

  私たちが主張してきた4つの課題を解決するため特措法をつくっていただき、改正法も施行されたが、改正法が成立後1年余り経った今も、まだ何ら解決していない。運賃は公定幅が適用され、下限割れはほとんどなくなってきた。完璧ではないが、基本的にはよい方向に向かっている。来年に向かって、4つの課題が完遂できるよう頑張っていきたい。

  平成13年度は、全国で2%余りの利益を何とか確保していたが、平成18年に1・5%に落ち、平成22年には1%に落ちた。平成25年にはマイナスになっている。時間が経つにつれ、どんどん落ちている。真面目に努力してもうまくいかず、この業界は発展性に乏しくなってきている。早く方向性を変えないといけない。

  全国の賃金を見ると、年収300万円以上は47都道府県で3カ所しかない。東京は403万円だが、そのレベルでは400万と胸を張れない。200万円以下は2カ所。残る全部が200万円台。そのくらいひどい業界だということを田端局長に伝えた。平成21年度のタクシー運転者の平均年収は280万円だったので、それに比べると昨年度の298万円は18万円上昇。しかし、18万円を上げるためではなく、100万円ぐらい上げるのに法律をつくったのだが、ひじょうに上がり方が鈍い。ということは、特措法が徹底していないのと景気の問題が大きく影響しているのではないか、という気がしている。全産業平均が平成21年度に530万円程度だったのが、昨年度は525万円と減少した。バスは高橋幹・日バ協会長によると440〜450万円で、退職金もある。トラックは大手、中小いろいろあるが、380〜430万円と言われており、どう見てもバスが一番上、その次がトラック、タクシーが一番下、という数字が伝統的になっている。これで人手不足と言っても、私がタクシーの運転者をやるかと言えば、やらない。バスへ、トラックへと、どうしてもなる。やはりタクシー業界の賃金を上げていかねばならない。

  タクシーは人命を運ぶという目的もあるが、流し営業では、お客様を探しながら走行し、お乗せして、お客様が言う目的地へ、ときにはどこへ行くのか分からないようなところまで一生懸命、地理を整理しながら運転していかねばならない。ひじょうに難しい仕事をしているわりには、報われ方が少ないのではないかと訴えた。

  タクシー特措法が平成21年6月に成立し、改正法が昨年11月に成立した。約4年半かかっている。この間に民主党政権が誕生した。タクシー特措法が成立するまでに1年半かかったので、これを合わせて改正法施行までに6年半かけて、運転者の賃金を是正しようとやってきているが、結果的に大したことができていない。一にも二にも景気の問題になるが、私たちは景気の問題と特措法を利かしきれていないということを念頭に置き、特定地域指定をしていただきたいとお願いした。

  2つの法律がほぼ全会一致で国会で通ったが、政府からブレーキがかけられている。早く必要な武器が使えない。ひじょうに厳しい中で、私たちはタクシーの運営をやらされている。1日も早く困難から抜け出なければならない。選挙が終わったらタク議連の先生がたに解決を急いでいただきたいと強くお願いしている。全国ほどんどの会社が赤字であるという現状から、どうやって脱却していくのか、とう課題もある。改正法を使って脱却させるという方法もあるが、「預かり休車制度の実現」をお願いしている。法律的には「預かる」という言葉は通達にはなく、預けるということは減車した、ということになる。それを返してもらうときには、増車になるということが、法的解釈。実現は、考えてみると難しい。しかし、「それでは困る」という話をして、預けて、いつでも返してもらえる。それを、事業者が自主的に考えることができるような制度にしてほしい、というお願いをした。厳しい中、事業者単独で頑張れる方法はこれしかないと訴えていきたい。

  ただ、何とか改正法ができ、レールだけは敷けた。その上に乗った業界の列車が、まだ走れていない。しかし、レールが敷かれている、ということは、不幸中の幸いだと私は思っている。1日も早く列車が走れるように、私たちが努力していきたい。全国の皆さんの団結による強い叫び声が、国会議員の先生がたや国交省に聞こえないと、私ひとりががなっている、ということになっても困るので、全国47都道府県で大きな声を出し、何とかこの業界を1日も早く救っていただけるよう、来年は頑張っていきたい。来年はぜひ、よい年にしたい。