若林・国交省旅客課長が新法をテーマに講演
「無線ハイヤーはタクシー同様に規制の対象」

(2014年1月20日付・第282号)

【東京】国交省自動車局の瓦林康人・旅客課長は1月16日の全タク連・常任理事会で、タクシー「サービス向上」「安心利用」推進法についてと題して講演した。この中で、瓦林課長は「来週の地方運輸局自動車交通部長会議で新法施行に向けた情報交換と体制づくりに着手するが、新地域協議会では今まで以上に協議会運営にしっかりと取り組む」として、「黒子」としての積極的活動を約束し、行政の消極的役割としての「黒子」役として「協議会会長や事務局などの主役級から下りる」との解釈による不安からの払しょくに努めた。要旨はつぎの通り。


① 運法の原則を保った上で、供給過剰の発生、供給過剰発生の恐れがある場合に地域指定する。これが1階建て、2階建てと言われるもの。新しい特定地域は供給過剰が発生している地域、準特定地域は供給過剰発生の恐れがある元地域という2層構造になっている。特定地域における協議会の枠組みには強制力のある供給削減措置があり、独禁法の適用除外が明確に盛り込まれた。

② 公定幅運賃は、特定地域と準特定地域双方に設定。準特定地域は今までの特定地域における方向とほぼ同じような形で供給過剰削減が進められるが、公定幅運賃が導入されることが、今までの特定地域との大きな違い。

③ 供給削減と相まり、どうタクシーサービスを向上させていくか、という問題意識から、タクシー業務適正化特措法で運転者試験制度、登録制度について拡充を図る。道運法の規定において、過労運転防止を図る。

④ 特定地域の指定基準については、国会の付帯決議において、現行の特定地域よりも厳しい客観的な基準を定めるよう促す項目がある。その関係で、人口、日車営収、日車実車走行距離の基準に付け加える形で、収支の状況に関する基準として設定するが、この辺は全タク連の意見を踏まえながら検討していく。

⑤ 協議会では地域計画をつくる。特定地域では供給過剰輸送量の削減が必須の課題だが、準特定地域では活性化が必須の課題となる。これを前提として、協議会全体でつくる地域計画に基づき、個々の事業者が作る計画が認可を受ける。認可を受けたら実施を担保しなければならず、実施命令制度があるのが特定地域で、これが準特定地域との大きな違いで、準特定地域の供給削減は任意で進められる。

⑥ 特定地域ではアウトサイダーに対し、法律上義務付けに基づく供給過剰削減を進めていく上で、勧告・命令制度を盛り込んだ。新規参入・増車を禁止する。アウトサイダーには4つのパターンがあり、(イ)特定地域協議会に参加しない事業者(ロ)特定地域協議会には参加するが、出来上がった地域計画に賛成しない事業者(ハ)事業者計画が認可を受けなかった事業者(ニ)認可を受けたが、実施しない事業者――など。勧告・命令(いずれも運輸審議会に諮問)・認可事業計画の変更命令の対象――のいずれかが行われる。

⑦ 準特定地域における新規参入は、新規需要が認められなければならない。増車は、新規需要がある場合は既存事業者の営業実績、法令遵守の状況などで、頑張った事業者に認められるが、あくまで新規需要がある場合が前提。

⑧ 協議会の構成員で今までのものとの大きな違いは、運輸局長が抜けていること。特定地域の場合は地域協議会が作った地域計画を運輸局が認可する形になるため。しかし、むしろ運輸局は黒子として積極的な役割を担っていかなければならない。

⑨ 供給削減の方法は一律でも構わないが、一律でないパターンもある。これは、協議会の合意で柔軟に決められることを前提にしている。例えば、(イ)大手と中小の境目は都市部と地方と違いがあるのは当然で、それぞれの基準を設けることで対処して構わない。その地域の最低車両数以上保有している事業者はX%減車し、最低保有車両数以下の事業者と個人は曜日別休車と稼働車両数の工夫でX%またはY%を営業制限する(ロ)大手・中小・個人の区別なくすべての事業者が一律X%減車に相当する営業制限(ハ)大手・中小・個人のカテゴリーごとに減車X、Y%、X、Y、Z%の減車に相当する営業制限――など。ただし、これら減車率等をベースとして現行特措法下における減車実績に応じ、減車または営業方法の制限に係る割合を引き下げることができる。

⑩ 特定地域計画に関する合意の方法は、同計画の認可基準として地域車両総数の3分の2以上の賛成が条件。これにプラスする形で、大手・中小・個人のカテゴリーの中でそれぞれの地域(営業所単位)における保有総車両数の過半数が合意することが必要。

⑪ 特定地域では、特定地域計画をつくることが義務付けられており、合わせて活性化措置も定めることになる。供給過剰輸送量の削減は、減車という方法と営業制限という方法があり、併用することができるようになっている。第一段階として、それを具体的にどうするかを特定地域計画に盛り込む。第二段階として、合意事業者については事業者計画(大手・中小・個人のカテゴリーごとで、最終的には個々の事業者)を提出することが義務付けられる。その上で、認可に基づく地域計画および事業計画、具体的には減車となる。任意になるが、活性化計画を持ち込むことができる。それらを義務として実施する。

⑫ 減車を協議することは、そもそも独禁法違反にならないという意見が公取委から正式に出ており、それを通達で示すので、認めらた形で減車等の協議ができるようになる。また特定地域計画を認可申請したが、却下された場合は独禁法の適用除外にはならない。

⑬ 公定幅運賃の前提として、割引、割増、定額運賃、ハイヤー運賃は対象外になるが、それらを放置することなく、道運法規定により個別認可する。認可の際には、公定幅運賃の趣旨を没却しない運賃であるかどうかを審査する。公定幅運賃下限割れ運賃の事業者が、引き続き下限以下で再び届け出られたときには行政指導を行い、それでも従わない場合は運賃変更命令が発動される。

⑭ 公定幅運賃は、協議会の意見を経て公示される。協議会でどのような意見を出すかを議論する必要がある。運賃を巡り、協議会で議論することになるが、公取委から、そのための協議・議論は独禁法上問題にならないという明確な回答が出ている。国交省はそれを文書で示し、安心して議論できるようにする。

⑮ 公定幅運賃が公示されると、個々の事業者が幅の中で申請するが、幅の中で特定の運賃について届け出ることを相談することになると、独禁法上の問題が出てくる。新特措法に基づく供給輸送量の削減対象から、(専ら)福祉タクシー(として使用される車両)と都市型ハイヤー(長期間専属契約、厳格な時間制運賃による営業)はタクシーと直接競合しないので除外されているが、それに該当しないハイヤーは改正特措法の中でタクシーと同じように規制される。

⑯ 運転者が他の法令に違反し、それが事業者の責任に帰す事由が発生した場合は安全確保命令が発動される。

⑰ 平成27年10月1日施行の改正タクシー業務適正化特別措置法では全都道府県単位で一律にタクシー運転者登録制度が実施される。

⑱ タクシー・バスで創設される旅客自動車適正化事業では、運輸局・運輸支局と役割分担と連携しながら事業実施自治体において、指導・啓発等、法令遵守に関するいろいろな取り組みを行う。そのため、平成25年度では、監査担当職員が342人いるが、ツアーバス事故以降安全確保のため増員を図っており、次年度には356人に増員する。

⑲ 付帯決議では、事業者に対し、歩合制と固定給のバランスの取れた給与体系の再構築、累進歩合制の廃止等に努め、その上で運行の安全の確保等を求めており、行政としてもフォローアップに努めていく。